消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号)
標記法律については、令和元年6月15日から施行されています。
●取り消しうる不当な勧誘行為の追加等
①社会生活上の経験不足の不当な利用
⑴不安をあおる告知
例:就活中の学生の不安を知りつつ、「このままでは一生成功しない、この就職セミナーが必要」と告げ勧誘
⑵恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用
例:消費者の恋愛感情を知りつつ、「契約してくれないと関係を続けない」と告げて勧誘
②加齢等による判断能力の低下の不当な利用(※)
例:認知症で判断力が著しく低下した消費者の不安を知りつつ「この食品を買って食べなければ、今の健康は維持できない」と告げて勧誘
③霊感等による知見を用いた告知(※)
例:「私は霊が見える。あなたには悪霊が憑いておりそのままでは病状が悪化する。この数珠を買えば悪霊が去る」と告げて勧誘
④契約締結前に債務の内容を実施等
例:注文を受ける前に、消費者が必要な寸法にさお竹を切断し、代金を請求
⑤不利益事実の不告知の要件緩和
例:「日照良好」と説明しつつ、隣地にマンションが建つことを故意に告げず、マンションを販売→故意要件に重過失を追加
(※)衆議院において追加された規定
●無効となる不当な契約条項の追加等
①消費者の後見等を理由とする解除条項
例:「賃借人(消費者)が成年被後見人になった場合、直ちに、賃貸人(事業者)は契約を解除できる」
②事業者が自分の責任を自ら決める条項
例:「当社が過失のあることを認めた場合に限り、当社は損害賠償責任を負う」
●事業者の努力義務の明示
①条項の作成:解釈に疑義が生じない明確なもので平易なものになるよう配慮
②情報の提供:個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で必要な情報を提供