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民法改正⑧(契約解除の要件に関する見直し)

契約解除の要件に関する見直し①

543条(履行不能による解除権)は、債権者に帰責事由がない場合には解除が認められないと定められています。そして、伝統的学説は、同条に基づく解除だけでなく解除一般について帰責事由が必要であると解しています。

(履行不能による解除権)

第543条 履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、その債務の不履行が債権者の責めに帰すことができない事由によるものであるときは、この限りではない。

しかし、例えば次のような事例で、解除が認められないのは不当ではないか。

買主Aは売主Bからパソコンを仕入れる契約を結んだが、売主Bの工場が落雷による火災(売主Bに帰責事由がない火災)で焼失し、納期を過ぎても復旧の見込みも立たなかった。買主Aとしては、パソコンが納品されないと事業に支障が生ずるので、売主Bとの契約を解除し、同業他社のCと同様の契約を結びたい。

改正法の内容

◽️債務不履行による解除一般について、債務者の責めに帰することができない事由によるものであっても解除を可能なものとする。

◽️不履行が債権者の責めに帰すべき事由による場合には、解除を認めるのは不公平であるので、解除はできないとしている。

契約解除の要件に関する見直し②

問題の所在

契約解除の可否をめぐるトラブルは、裁判実務において代表的な紛争類型の一つであり、重要な判例が積み重ねられているが、、それは現在の条文からは読み取れない。

541条の催告解除(履行の催告をしても履行がない場合に認められる解除)と542条・543条の無催告解除(履行の催告を要しない解除)について、判例を踏まえ、それぞれ要件を明文化すべきではないか。

改正法の内容

◽️催告解除の要件に関して、判例を踏まえ、契約及び取引通念に照らして不履行が軽微であるときは解除をすることができない旨を明文化する。

◽️無催告解除の要件に関して、履行拒絶の意思の明示、(一部の履行はできる場合でも)契約をした目的を達するのに足りる履行の見込みがないこと等の事情があれば解除が可能であることを明文化する。