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民法改正⑥(意思能力制度の明文化)

意思能力制度とは、「意思能力を有しない方がした法律行為は無効となること」をいいます。

意思能力は、「行為の結果を判断するに足るだけの精神能力。例えば認知症を患って行為の結果を判断することができない方は、意思能力を有しない」とされています。

◽️現状

自らが締結した売買契約の無効を主張して、代金の返還等を求めることができることにより、判断能力が低下した高齢者等が不当に不利益を被ることを防ぐことが可能。

※類似の制度として、高齢者等の保護を図る成年後見制度がありますが、成年後見制度の利用のためには、事前に家庭裁判所の審判を得ていなければなりませんが、意思能力制度は事前に家庭裁判所の審判を得ていなくとも利用が可能です。

※意思能力を有しなかった者の原状回復義務の範囲は、現に利益を受けている限度にとどまると解されています。

◽️問題の所在

判例・学説上は、異論なく認められ、実際にも活用されているが、民法上に明文の規定がない。

改正法の内容

◽️民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から、意思能力を有しない者がした法律行為は無効とすることを明文化

※併せて、意思能力を有しなかった者が相手方にする原状回復義務の範囲は、「現に利益を受けている限度」にとどまる旨の規定を新設