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障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン

平成29年3月に厚生労働省により障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドラインが公表されています。(障発0331号第15号)

●意思決定支援の定義

意思決定支援とは、自らの意思を決定することに困難を抱える障害者が、日常生活や社会生活に関して自らの意思が反映された生活を送ることができるように、可能な限り本人が自ら意思決定できるよう支援し、本人の意思の確認や意思及び選好を推定し、支援を尽くしても本人の意思及び選好の推定が困難な場合には、最後の手段として本人の最善の利益を検討するために事業者の職員が行う支援の行為及び仕組みをいいます。

●意思決定を構成する要素

⑴本人の判断能力

本人の障害による判断能力の程度は、意思決定に大きな影響を与えます。

例えば、何を食べるか、何を着るかといった日常生活における意思決定は可能だが、施設から地域生活への移行等住まいの場の選択については意思決定に支援が必要であるといった事例が考えられます。意思決定を進める上で、本人の判断能力の程度についての慎重なアセスメントが重要となります。

⑵意思決定支援が必要な場面

①日常生活における場面

日常生活における意思決定支援の場面としては、例えば、食事、衣服の選択、外出、排せつ、整容、入浴等基本的生活習慣に関する場面の他、複数用意された余暇活動プログラムへの参加を選ぶ等の場面が考えられます。日頃から本人の生活に関わる事業者の職員が場面に応じて即応的に行う直接支援の全てに意思決定支援の要素が含まれています。

日常生活における場面で意思決定支援を継続的に行うことにより、意思が尊重された生活体験を積み重ねることになり、本人が自らの意思を他者に伝えようとする意欲を育てることに繋がります。

日常生活における支援場面の中で、継続的に意思決定支援を行うことが重要です。

②社会生活における場面

障害者総合支援法の基本理念には、全ての障害者がどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられない旨が定められていることに鑑みると、自宅からグループホームや入所施設等に住まいの場を移す場面や、入所施設から地域移行してグループホームに住まいを替えたり、グループホームの生活から一人暮らしを選ぶ場面等が、意思決定支援の重要な場面として考えられます。

体験の機会の活用を含め、本人の意思確認を最大限の努力で行うことを前提に、事業者、家族や、成年後見人等の他、必要に応じて関係者等が集まり、判断の根拠を明確にしながら、より制限の少ない生活への移行を原則として、意思決定支援を進める必要があります。

⑶人的・物理的環境による影響

意思決定支援は、本人に関わる職員や関係者による人的な影響や環境による影響、本人の経験の影響等を受けます。

例えば、意思決定支援に関わる職員が、本人の意思を尊重しようとする態度で接しているかどうかや、本人との信頼関係がでいているかどうかが影響することが考えられます。また、意思決定の場面に立ち会う家族等の関係者との関係性も影響を与える可能性があります。

環境に関しては、初めての慣れない場所で意思決定支援が行われた場合、本人が過度に緊張してしまい、普段通りの意思表示ができないことも考えられます。また、サービスの利用の選択については、体験利用を活用し経験に基づいて選択ができる方法の活用など経験の有無によっても影響されることが考えられます。