福岡大臣会見概要(高額療養費制度の見直しの検討状況について)令和7年9月16日 等
記者:
高額療養費制度の見直しの検討状況についてお伺いします。高額療養費の在り方に関する専門委員会では、第3回までに患者側や保険者、医療提供側、学識者などへのヒアリングが行われ、本日開催される第4回以降、出された意見を基に議論が進められるものと伺っています。これまでヒアリングで寄せられた意見を基に、今後の見直しでどのような方向性や配慮が求められていると考えられているか、大臣の受け止めをお聞かせください。また、秋までに結論を出すとされていますが、具体的にいつまでにどのように議論を進められるのかについても併せてお伺いします。
大臣:
高額療養費の見直しについては、高額療養費制度の在り方に関する専門委員会において、患者団体、保険者等からヒアリングを行うなど、関係者からご意見を伺いながら、丁寧に議論を行なっているところです。本日、第4回の専門委員会を実施しますが、ヒアリング結果を踏まえて更に議論を深めていただく予定としており、この時点で、今後の見通しの方向性などについてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。検討に当たっては、患者の方々の経済的な負担が過度なものとならないよう配慮しつつ、一方で増大する高額療養費を負担能力に応じてどのように分かち合うかという観点から、引き続き丁寧に検討を進めてまいりたいと考えています。
※高額療養費制度の概要
⚫︎高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、医療機関の窓口において医療費の自己負担を支払っていただいた後、月ごとの自己負担限度額を超える部分について、事後的に保険者から償還払い(※)される制度。
(※1)入院の場合、医療機関の窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめる現物給付化の仕組みを導入
(※2)外来でも、平成24年4月から、同一医療機関で自己負担限度額を超える場合に現物給付化を導入
⚫︎自己負担限度額は、被保険者の所得に応じて設定される。
※これまでの専門委員会における主なご意見を踏まえた今後の議論(案)
⚪︎「高額療養費制度の在り方に関する専門検討会」のこれまでの議論において、高額療養費制度は、セーフティネット機能として患者にとってなくてはならない制度であり、また、諸外国と比べてもこのような恵まれている制度を擁している国はほとんどなく、今後もこの制度を堅持していく必要性について認識の一致が見られた。
⚪︎こうした共通認識の下で、高齢化の進展や医療の高度化、高額医薬品の開発などが今後も見込まれる中で、また、現役世代の保険料負担に配慮する必要がある中で、制度改革の必要性は理解するが、その際には、(この専門委員会の所掌を超えることになるが、)高額療養費制度だけではなく、他の改革項目も含め、医療保険制度改革全体の中で全体感を持って議論していくことが必要という点も共通していた。
⚪︎その上で、これまでの議論を踏まえると、高額療養費制度の在り方の検討にあたっては、例えば、以下の諸点について更に議論を深める必要があるのではないか。
・現行制度においても、患者によっては医療費負担が極めて厳しい状況にあるという意見があった一方で、医療費が増大する中において、制度を将来にわたって維持し、かつ、現役世代の保険料負担への配慮の必要性なども踏まえると、低所得者の方や長期にわたり継続して治療を受けている患者の負担に配慮しつつ、負担額の一定の見直しは必要ではないかといった意見もあった。また、高額療養費制度における応能負担の在り方についてどう考えるか、更には、制度を見直す際は、仮のモデルを設定した負担のイメージやデータを踏まえる必要があるという意見もあった。これらを踏まえ、高額療養費制度における給付と負担の在り方についてどのように考えるか。
・仮に自己負担限度額を引き上げるとした場合、限度額に到達せず、多数回該当に該当しなくなり、負担が急激に増加する事例が発生する可能性がある、また、長期にわたり継続して治療を受ける患者の経済的負担に配慮し、例えば、患者負担に年間上限を設けてはどうかという意見もあった。これらを踏まえ、高額療養費制度を見直す場合に留意すべき点として、どのような制度的配慮が必要か。
・現行の高額療養費制度においても、例えば、加入する保険者が変わった場合に多数回該当のカウントが引き継がれない、現物給付化されていることで費用総額が見えにくくなっているため、制度を意識する機会が少ない、また、コスト意識という面での課題を指摘する意見もあった。これらを踏まえ、現行制度における課題への対応として、運用面を含めどのような対応が考えられるか。
第4回専門委員会資料より