令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)②
労働者調査結果の概要
労働者等調査結果のまとめ(一般サンプル調査)
<労働者におけるハラスメント被害を受けた経験>
⚫︎過去3年間に勤務先でパワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為を受けた割合は、それぞれ19.3%、6.3%、10.8%であった。また、顧客等からの著しい迷惑行為を一度以上経験した割合については、接客頻度が高いほど、経験した割合が高く、業種別にみると、「生活関連サービス業、娯楽業」(16.6%)、「卸売業、小売業」(16.0%)、「宿泊業、飲食サービス業」(16.0%)の順で高かった。
⚫︎さらに、ハラスメントを受けた経験の割合を、勤務先が行なっているハラスメントの予防・解決のための取組評価別にみると、パワハラにおいては、勤務先が「積極的に取り組んでいる」と回答した者で、ハラスメントを経験した割合が最も低く(15.2%)、「あまり取り組んでいない」と回答した者で、最も高かった(35.1%)。なお、セクハラと顧客等からの著しい迷惑行為については、勤務先が「取り組んでいる」と回答した者でハラスメントを経験した割合が最も低かった(それぞれ5.5%、12.2%)。
⚫︎パワハラ、セクハラを受けた後の行動としては、「何もしなかった」(それぞれ36.9%、51.7%)が最も多く、顧客からの著しい迷惑行為については、「社内の上司に相談した」(38.2%)が最も多かった。また、勤務先におけるハラスメントの予防・解決に向けた取組への評価が高いほど、「社内の同僚に相談した」や「社内の上司に相談した」等の割合が高く、「何もしなかった」の割合が低かった。
<ハラスメントに対する勤務先の対応>
⚫︎勤務先によるハラスメントの認識については、「認識していた」の割合がパワハラでは37.1%、セクハラでは23.9%と半数を下回る一方で、顧客からの著しい迷惑行為については59.2%と半数を上回っていた。
⚫︎ハラスメントを知った後の勤務先の対応としては、パワハラとセクハラでは「特に何もしなかった」が最も高く(それぞれ53.2%と42.5%)、顧客等からの著しい迷惑行為については「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」(39.2%)が最も高かった。
⚫︎勤務先によるハラスメントの認定については、パワハラ、セクハラでは、「ハラスメントがあったともなかったとも判断せずあいまいなままだった」(それぞれ61.4%、47.5%)の割合が最も高かった。
<勤務先における職場の特徴>
⚫︎現在の勤務先でハラスメントを経験した者と、ハラスメントを経験しなかった者とで職場の特徴を比較すると、パワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為において「その他」を除き、すべての職場の特徴に関して、ハラスメントを経験した者の方が経験しなかった者より回答割合が高かった。
<勤務先におけるハラスメントに対する取組状況やそれに対する評価>
⚫︎勤務先が予防・解決のための取組を行なっている割合は、全体のうち41.8%であり、取組の対象となっているハラスメントについては「パワハラ」(88.1%)が最も多く、次いで「セクハラ」(81.0%)、「妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント」(51.2%)と続いた。
⚫︎また、勤務先の取組への評価については「取り組んでいる」が約半数(49.0%)で最も多く、次いで「あまり取り組んでいない」(20.9%)の順となった。
⚫︎「職場の生産性」「あなた自身の働きやすさ」といった職場の変化について、勤務先が「積極的に取り組んでいる」「取り組んでいる」と回答した者においては、「悪化している」よりも「改善された」の割合が高く、「あまり取り組んでいない」と回答した者においては「改善された」よりも「悪化している」の割合が高かった。
<勤務先において今後実施した方が良いハラスメントに対する取組>
⚫︎勤務先が今後実施した方がよい取組を業種別でみると、「運輸業、郵便業」(24.1%)や「教育・学習支援業」(24.3%)では、「労働者や労働組合等の参画の促進(アンケート調査や意見交換等の実施、衛生委員会の活用等)の割合が高く、一方、「不動産業、物品賃貸業」(65.1%)や「宿泊業、飲食サービス業」(68.0%)、「その他サービス業」(67.4%)では「特にない」の割合が高かった。