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高齢社会対策大綱(令和6年9月13日閣議決定)について②

一人暮らしの高齢者の増加等に対応できる環境の整備

<背景>

⚪︎医療・介護の複合ニーズが高まる85歳以上人口は増加を続け、2060年には約1.170万人となる見込み。(2023年:約670万人)

⚪︎2040年度までに更に57万人の介護職員の確保が必要と見込まれる。

⚪︎介護離職者数は年間約10万人で推移。2030年の介護離職等による経済損失額は約9.2兆円。

⚪︎65歳以上の一人暮らしの人の数は、2040年には2020年より370万人増加し、約1.041万人となる見込み。

⚪︎近年持家率は20〜50代で低下傾向。高齢者の一人暮らしが増加する中、高齢期の住宅の確保に対するニーズは高まる。一方、高齢者の入居については、賃貸人の約7割が拒否感。住み替えのピークは75〜85歳と遅く消極的な住み替えも。

⚪︎使用目的のない空き家は、この20年間で1.8倍の385万戸に増加。

⚪︎60代以上の老後生活の不安として「移動が困難」と回答の割合は、人口規模の少ない市町村ほど多く、人口5万人未満では7割弱。

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<大綱に盛り込む基本的施策>

⚪︎在宅医療や在宅介護の質・量両面での充実を含めた地域包括ケアシステムの構築の一層の推進<健康・福祉>

⚪︎処遇改善や介護の仕事の魅力向上等を通じた介護人材の確保の推進<健康・福祉>

⚪︎介護ロボットやICT機器等テクノロジーを活用した介護現場の生産性向上<健康・福祉>

⚪︎高齢者等終身サポート事業者の適正な事業運営の確保や地域の社会資源を組み合わせた包括的支援のコーディネート等の身寄りのない高齢者等の支援の充実<健康・福祉>

⚪︎住宅、福祉等の関係者が連携した地域における総合的・包括的な居住支援体制の整備等を通じた居住支援の充実<生活環境>

⚪︎空き家の有効活用等の空き家対策の推進<生活環境>

⚪︎地域公共交通の「リ・デザイン」の加速化や自動運転技術の社会実装に向けた取組の推進等による地域における移動手段の確保<生活環境>

⚪︎高齢社会の課題解決に資するAI技術の研究開発の促進<研究開発等>等

 

身体機能・認知機能の変化に配慮した環境の整備

<背景>

⚪︎65歳以上の認知症及びMCI(軽度認知障害)の人の数は今後増加し、2040年にはそれぞれ584.2万人(有病率14.9%)、612.8万人(有病率15.6%)となる見込み。(2022年:認知症443.2万人(有病率12.3%)、MCI558.5万人(有病率15.5%))

⚪︎特殊詐欺の被害者の約8割が65歳以上。

⚪︎75歳以上の運転者による死亡事故件数は最近増加傾向にあり、2023年は384件の死亡事故が発生。

⚪︎バリアフリー化やユニバーサルデザイン化の進捗状況について、「十分進んだ」又は「まあまあ進んだ」と回答した人は、60代・70代で3割程度にとどまっている。

⚪︎市町村における避難行動要支援者の個別避難計画について、未着手が全体の約8%であるなど地域差がある。

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<大綱に盛り込む基本的施策>

⚪︎認知症基本法に基づく、認知症の理解の増進や早期発見・対応のための関係機関間の連携強化等の施策の総合的かつ計画的な推進<健康・福祉>

⚪︎加齢による難聴等の早期スクリーニングや定期的ケア、地域や職場の理解促進、感覚を拡張・代替するテクノロジーの活用等による身体機能・認知機能の状態に関わらず生活しやすい環境整備<健康・福祉>

⚪︎個人情報を円滑に共有し得る枠組み(消費者安全確保地域協議会等)への金融機関の参加の促進による必要な支援につなぐ取組の推進等、金融経済活動における認知機能の低下した人への支援強化<生活環境>

⚪︎地域協議会の設置促進や消費生活相談のDX等の相談体制の充実による消費者被害の防止<生活環境>

⚪︎運転免許証の自主返納をしやすい環境整備やサポートカー限定免許の推奨等の認知機能の変化に応じた交通安全対策の推進<生活環境>

⚪︎情報アクセシビリティや建築物等のバリアフリー化の推進<生活環境>

⚪︎高齢期の特性に配慮した防災・防犯対策の推進<生活環境>等

 

今後の高齢社会対策の推進に当たって

⚪︎関係行政機関の間の緊密な連携・協力、施策相互間の十分な調整、各分野における数値目標及び参照指標の設定

⚪︎施策の推進状況の検証・評価を踏まえ、必要な改善を行うための仕組みの構築

⚪︎地域の企業・団体やNPO等の多様な主体との連携等により、地方公共団体における地域の特性を活かした施策の展開を後押し