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満足度・生活の質に関する調査報告書2024(概要)

<本報告書の背景・目的>

我が国の経済社会状況について、GDPだけでなく、満足度・生活の質に関する幅広い視点からWell-being の動向を「見える化」することが重要である。こうした観点から、主観的指標である「生活満足度」(生活に満足しているかを0点〜10点で自己申告するもの)や、関連する仕事や家庭の状況、生活実態の動向を把握するため「満足度・生活の質に関する調査」を2019年2月に開始した。今般、第6回調査(2024年2月実施)の調査結果を分析し、報告書を取りまとめる。

2024年8月

内閣府 政策統括官(経済社会システム担当)

 

満足度・生活の質に関する調査について

⚫︎約10.000人へのインターネット調査(うち約5.500人は前回調査からの継続サンプルであるパネル調査)。

⚫︎総合的な生活満足度、13分野別の満足度、回答者の基本属性や仕事、家庭の状況等により、主観・客観の両面からWell-beingを多角的に把握。

※13分野の満足度

家計と資産の満足度、雇用環境と賃金の満足度、住宅の満足度、仕事と生活(WLB)の満足度、健康状態の満足度、自身の教育水準・教育環境の満足度、社会とのつながりの満足度、政治・行政・裁判所への信頼性の満足度、自然環境の満足度、身の回りの安全の満足度、子育てのしやすさの満足度、介護のしやすさの満足度、生活の楽しさ・面白さの満足度

 

①-1 生活満足度の動向

⚫︎生活満足度は、5.89と調査開始以来で最高水準となり、1年間での上昇幅も最大となった。

⚫︎男女別では、いずれも最高水準となったが、特に男性の上昇幅が大きい。年齢階層別では、全ての階層で上昇したが、40歳〜64歳は2020年の水準に至っていない。

⚫︎地域別では、全ての地域で同程度の上昇。雇用形態別では、コロナ禍の影響を大きく受けた非正規雇用が引き続き上昇し、正規雇用との水準差は縮小。

①-2 年齢別にみた生活満足度上昇の寄与度分解・分野別満足度の動向

⚫︎男性では39歳以下、女性では40歳〜64歳の層が生活満足度上昇に寄与。三大都市圏では40歳〜64歳、地方圏では39歳以下の層が上昇に寄与。

⚫︎男性については、39歳以下の層で多くの分野で満足度が大きく上昇。女性については、全ての年齢階層で「家計と資産」が上昇。

①-3 生活満足度の点数別分布

⚫︎生活満足度の点数別の分布をみると7点が最頻値、次いで8点、5点が多い。前回と比較して、7点以上の割合が上昇。

⚫︎39歳以下の層は7点、40歳〜64歳の層は5点、65歳以上の層は8点が最頻値となっており、年齢別にみた分布に違いが見られる。

②-1 生活満足度を判断する上で重視している事項

⚫︎重視している事項は年齢階層別に違いはあるものの、「家計と資産」「健康状態」「生活の楽しさ・面白さ」はいずれの年齢層でも重視されている。

⚫︎「健康状態」「生活の楽しさ・面白さ」は重視している人の割合に対して高評価している人の割合も高いが、「家計と資産」は重視している人の割合に対して低評価している人の割合が比較的高くなっている。重視している事項を高評価している人の生活満足度が他に比べて高くなる傾向。

⚫︎なお、「自然環境」や「身の回りの安全」は重視されていないが、高評価されている。

②-2 満足度の過去、現在、未来の動向

⚫︎5年間の生活満足度の変化では39歳以下の層で上昇・低下双方の割合が他の年齢階層より高く、相対的に変動が大きい。5年の間に結婚した人のうち5割の満足度が上昇。

⚫︎現在の満足度は5年前回顧満足度より上昇しているが、5年後予想満足度は5年前回顧満足度より低くなり控えめに評価する傾向。過去5年間で満足度が上昇した人の約6割が、将来の満足度低下を予想。

②-3 働き方(転職・起業)と満足度

⚫︎転職と満足度の関係をみると、転職意向のない人の満足度が最も高い。40歳〜64歳の層では転職活動中の人の満足度が大きく落ち込む傾向。

⚫︎起業と満足度の関係をみると、39歳以下の層と40歳〜64歳の層では特徴が異なる。前者では起業経験者や準備中の人の満足度が高い傾向があるのに対し、後者では起業経験者の満足度が最も低い。

②-4 生涯を通じた就業意向と満足度

⚫︎60歳未満の現役世代では、60歳以降も働き続けたいと考える人は7割。

⚫︎60歳以上では、男性の70歳〜74歳、女性の65歳〜69歳の約5割が就業を希望。

⚫︎就業希望者の就業状況をみると、男性は75歳以上でも5割以上が就業しているのに対し、女性は70歳以上で就業している割合は5割を下回る。就業希望の実現状況が満足度に与える影響は男性において顕著で、無業者の満足度は就業者を大きく下回る。

内閣府HP 2024年8月9日

 

参考 2024年版 国連の「世界幸福度報告(World Happiness Report):日本51位