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問 賃貸借契約にクリーニング特約が付いていたために、契約が終了して退去する際に一定の金額が敷金から差し引かれました。このような特約は有効ですか?

A:クリーニング特約については⑴賃借人が負担すべき内容・範囲が示されているか、⑵本来賃借人負担とならない通常損耗分についても負担させるという趣旨及び負担することになる通常損耗の具体的範囲が明記されているか或いは口頭で説明されているか、⑶費用として妥当か等の点から有効・無効が判断されます。

※クリーニングに関する特約についてもいろいろなケースがあり、修繕・交換等を含めてクリーニングに関する費用負担を義務付けるケースもあれば、クリーニングの費用に限定して借主負担であることを定めているケースもあります。後者についても具体的な金額を記載しているものもあれば、そうでないものもあります。

クリーニング特約の有効性を認めたものとしては、契約の締結にあたって特約の内容が説明されていたこと等を踏まえ「契約終了時に、本件貸室の汚損の有無及び程度を問わず専門業者による清掃を実施し、その費用として2万5000円(消費税別)を負担する旨の特約が明確に合意されている」と判断されたもの(東京地方裁判所判決平成21年9月18日)があり、本件については借主にとっては退去時に通常の清掃を免れる面もあることやその金額も月額賃料の半額以下であること、専門業者による清掃費用として相応な範囲のものであることを理由に消費者契約法10条にも違反しないと判断しました。他方、(畳の表替え等や)「ルームクリーニングに要する費用は賃借人が負担する」旨の特約は、一般的な原状回復義務について定めたものであり、通常損耗等についてまで賃借人に原状回復義務を認める特約を定めたものとは言えないと判断したもの(東京地方裁判所判決平成21年1月16日)もあり、クリーニング特約が有効とされない場合もあることに留意が必要です。

 

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)のQ&Aより