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瑕疵から契約不適合へ

事例

背広さんの会社から分譲住宅を購入した住子さんから、引渡し時に設備の一部が使えないことが分かった、との連絡がありました。

 

Q:お客様から設備が使えないと言われています。「隠れた瑕疵」は改正民法で変わったと聞きましたが、どのように変わったのですか?

A:改正民法で、「隠れた瑕疵」は「目的物の種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない」(不適合)に改められました。これは、「瑕疵」の意味についてこれまでの判例を明文化したものです。これに伴い、「隠れた」ものであることは不要となりました。

Q:買主から求められる対応など、今回の件でどのように変わると考えられるでしょうか?

A:買主からは、これまでの損害賠償に加え、修理や代替物の引き渡し(追完請求)、代金の減額を求められる可能性があることになりました。今回不備のあった設備について、契約でどのように定められているか、確認することが重要です。

改正のポイント

⚫︎改正前の民法における「瑕疵」とは、判例で「契約の内容に適合していないこと」を意味するものと理解されていました。今回の改正は、このような判例を明文化するものです。

⚫︎「隠れた」とは、契約時に買主が欠陥について注意をしていても知りえないことをいうと解されていましたが、改正後の民法では、当事者の合意した契約の内容に適合しているかが問題であるため、「隠れた」の要件は不要となりました。

⚫︎契約不適合があった場合に買主が行使できる権利として、改正前の民法で認められていた損害賠償請求権と契約解除権に加えて、追完請求権と代金減額請求権が追加されました。

 

Q:権利行使に必要な期間や必要な対応についても変わったのでしょうか?

A:契約に適合していないことを知ってから、1年以内に通知をすれば足りることになりました。今回は、住子さんからの連絡が通知にあたると考えられます。

改正のポイント

⚫︎改正前の民法では、瑕疵を知ってから1年以内に損害賠償の請求などの権利行使が必要でしたが、改正後の民法では、不適合を知ってから、1年以内にその旨を売主に通知すれば足りるということになりました。

⚫︎なお、ここでいう「通知」とは、売主が対応を検討できる程度に不適合の種類やおおよその範囲を知らせるものであることを想定しています。

 

令和2年4月1日施行

 

詳細は国土交通省「住宅業界に関連する民法改正の主要ポイント」をご確認ください。

 

瑕疵→契約不適合