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住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律について

背景・必要性

⚪︎単身世帯の増加(※)、持家率の低下等により、要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居に対するニーズが高まることが想定される。

※単身高齢者世帯は、2030年に800万世帯に迫る見通し。

⚪︎孤独死や死亡後の残置物処理等の入居後の課題への不安から、単身高齢者など要配慮者に対する大家の拒否感が大きい。

他方、賃貸の空き家は一定数存在。

⚪︎改正住宅セーフティネット法(H29年)の施行後、全国で700を超える居住支援法人(※)が指定され、地域の居住支援の担い手は着実に増加。

※要配慮者の入居支援(物件の紹介等)、入居後の見守りや相談等を行う法人(都道府県知事指定)

⬇︎

1 大家と要配慮者のいずれもが安心して利用できる市場環境の整備

2 居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進

3 住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化が必要

 

法律の概要

1 大家が賃貸住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備(住宅セーフティネット法、高齢者住まい法、住宅金融支援機構法)

⚪︎終身建物賃貸物(※)の利用促進

※賃貸人の死亡時まで更新がなく、死亡時に終了する(相続人に相続されない)賃貸借

・終身建物賃貸借の許可手続を簡素化(住宅ごとの認可から事業者の認可へ)

⚪︎居住支援法人による残置物処理の推進

・入居者死亡時の残置物処理を円滑に行うため、居住支援法人の業務に、入居者からの委託に基づく残置物処理を追加

⚪︎家賃債務保証業者の認定制度の創設

・要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者(認定保証業者)を国土交通大臣が認定

→(独)住宅金融支援機構の家賃債務保証保険による要配慮者への保証リスクの低減

⚪︎居住サポート住宅による大家の不安軽減

(2 参照)

2 居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進(住宅セーフティネット法)

⚪︎居住サポート住宅(※)の認定制度の創設

※法律上は「居住安定援助賃貸住宅」

・居住支援法人等が、要配慮者のニーズに応じて、安否確認、見守り、適切な福祉サービスへのつなぎを行う住宅(居住サポート住宅)の提供を促進

(市区町村長(福祉事務所設置)等が認定)

→生活保護受給者が入居する場合、住宅扶助費(家賃)について代理納付(※)を原則化

※生活保護受給者は住宅扶助費を一旦受け取った後に賃貸人に支払うが、特例として保護の実施機関が賃貸人に直接支払う

→入居する要配慮者は認定保証業者(1 参照)が家賃債務保証を原則引受け

3 住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化(住宅セーフティネット法)

⚪︎国土交通大臣及び厚生労働大臣が共同で基本方針を策定

⚪︎市区町村による居住支援協議会(※)設置を促進(努力義務化)し、住まいに関する相談窓口から入居前・入居中・退去時の支援まで、住宅と福祉の関係者が連携した地域における総合的・包括的な居住支援体制の整備を推進

※地方公共団体の住宅部局・福祉部局、居住支援法人、不動産関係団体、福祉関係団体等を構成員とした会議体

 

目標・効果

(KPI)

①居住サポート住宅の供給戸数:施行後10年間で10万戸

②居住支援協議会を設立した市区町村の人口カバー率:施行後10年間で9割

 

※2024年5月30日 成立 公布年月日 2024年6月5日

この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。(令和7年秋頃予定)

 

※生活困窮者自立支援法等の改正

1 居住支援の強化のための措置

①住宅確保が困難な者への自治体による居住に関する相談支援等を明確化し、入居時から入居中、そして退去時までの一貫した居住支援を強化する。

②見守り等の支援の実施を自治体の努力義務とするなど、地域居住支援事業等の強化を図り、地域での安定した生活を支援する。

③家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、生活困窮者住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する。

④無料低額宿泊所に係る事前届出の実効性を確保する方策として、無届の疑いがある施設に係る市町村から都道府県への通知の努力義務の規定を設けるとともに、届出義務違反への罰則を設ける。

令和7年4月1日施行