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せん妄について(薬剤性せん妄)

せん妄とは脳が機能不全を起こした状態で、軽い意識障害や注意障害といった症状を中心に、睡眠・覚醒リズムの障害、認知機能障害、感情障害など多彩な精神症状がみられます。このうち注意障害はせん妄の主症状の1つであり、注意力が散漫になって一つのことに集中できなくなる、会話がまとまらなくなる、単語を言い間違うなどの行動としてみられます。睡眠・覚醒リズムの障害は夜に眠れなくなったり、逆に昼間に寝てしまうことがあります。認知機能障害では、時間や日づけ、自分のいる場所を間違って認識する、家族の顔・名前をみ誤る、話していたことを忘れてしまうなどがみられます。さらに実在しない人や物が見えるといった幻覚(幻視)がみられることもあります。感情障害はイライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、逆に上機嫌になることがあります。このような認知機能障害や感情障害は、「急にもの忘れをするようになった」、「以前は穏やかな性格だったのに、人が変わったように怒りっぽくなった」と周りの目に映ることがあります。一方で低活動型のせん妄では、活動性や行動速度の低下が主体となり、周囲の人には活気がないように映るため、「うつ病になったのではないか」と誤解されることがあります。

せん妄は、①数時間〜数日単位で急に発症する、②1日のなかで症状が変動する、といった特徴があります。特に夕方から夜間にかけて症状は悪化することがあり、これを夜間せん妄と言います。このようなせん妄の症状が、薬が開始・変更・中止となった後に見られるときは、薬剤性せん妄の可能性を考えて医師・薬剤師に相談する必要があります。またせん妄は認知機能障害を伴うため、認知症(アルツハイマー型認知症など)と間違われることがあります。せん妄は認知症と比べて発症が急性で症状の日内変動を伴うこと、一般的には症状は可逆性であることなどが鑑別のポイントになります。しかし認知症にせん妄を合併した際は、両者の見極めが難しくなります。

 

厚生労働省HP「薬剤性せん妄」より

 

 

参考

・国立がん研究センター せん妄とは(患者様・ご家族用)

・健康長寿ネット せん妄 等