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公的年金財政状況報告ー令和4(2022)年度ー(ポイント)

「公的年金財政状況報告」は、社会保障審議会年金数理部会が、公的年金の毎年度の財政状況について、公的年金の各制度・各実施機関からの報告に基づき、専門的な観点から横断的に分析・評価を行なった結果をとりまとめたもの。

 

1 公的年金の収支状況

公的年金制度全体でみると、令和4(2022)年度は、運用損益分を除いた収入総額54.6兆円、支出総額53.7兆円であったことから、運用損益分を除いた単年度収支残は0.9兆円のプラス。また、運用損益は3.5兆円のプラス。その結果、年度末積立金は前年度に比べ4.4兆円増加し、250.5兆円。

2 公的年金の財政状況の評価

令和4(2022)年度までの実績と令和元(2019)年財政検証の前提や将来見通しを比較するだけではなく、長期的な財政の均衡の観点から評価。

⚫︎国民年金第1号被保険者数は財政検証の見通しを下回り、厚生年金被保険者数は上回る状況が続いていることが確認された。また、令和2(2020)年度、令和3(2021)年度を中心に高い運用収益となった結果、積立金の実績が将来見通しを上回っていることが確認された。

一方で、令和元(2019)年以降の合計特殊出生率は、平成29(2017)年人口推計(注)における出生中位と出生低位の仮定値の間に位置し、出生中位の仮定値との乖離は更に拡大していることが確認された。

⚫︎これらの将来見通しからの乖離が、一時的なものではなく中長期的に続いた場合には、年金財政に与える影響は大きなものとなる。

⚫︎年金財政の観点からは、人口要素、経済要素等いずれも短期的な動向にとらわれることなく、長期的な観点から財政状況の動向を注視すべきである。

 

注 新たな将来推計人口(令和5年推計)が公表されているが、ここでは、令和元(2019)年財政検証の基礎となった平成29(2017)年人口推計における仮定値と比較している。

 

※公的年金財政における長期的な財政の均衡は、将来の保険料収入、国庫負担と現在保有する積立金をあわせた財源の全体と、将来の年金給付の全体で図られている。

 

令和6年3月22日 厚生労働省HPより