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リ・スキリング、労働移動の円滑化等の推進(令和6年度厚生労働省予算概算要求の主要事項)

リ・スキリングによる能力向上支援

⚪︎経済社会の変化に対応した労働者個々人の学び・学び直しの支援

厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した場合に、その費用の一部を支給する「教育訓練給付」において、経済社会の変化に対応した労働者個々人の学び・学び直しを支援するため、デジタル分野等の成長分野の訓練機会の拡大と教育訓練を受講しやすい環境の整備を図る。

⚪︎ハローワークを中心とした在職時からの継続的な相談支援体制の整備

「三位一体の労働市場改革の指針」を踏まえ、労働市場情報や職業・教育訓練等に関する情報を活用し、ハローワークの機能を強化する形で、在職時からキャリアアップに関する継続的な相談支援が行えるよう、必要な体制整備を図る。

⚪︎非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練試行事業(仮称)の実施

変化の激しい企業のビジネス環境に対応するために労働者のスキルアップが求められる中で、正社員に対してOFF -JTを実施した事業所割合が70.4%に対し、正社員以外に対しては29.6%と、正社員以外の労働者の能力開発機会は少ない状況にあり、非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすく、自らの希望に応じた柔軟な日時や実施方法による職業訓練を受講できるような仕組を構築し、非正規雇用労働者等のリ・スキリングを支援することが必要である。このため、在職中の非正規雇用労働者等の受講を前提とした様々な受講日程、実施手法等の職業訓練を試行的に実施することにより、非正規雇用労働者等のキャリアアップに効果的な職業訓練の検証を行う。

⚪︎公的職業訓練によるデジタル推進人材の育成とデジタルリテラシーの向上促進

「デジタル田園都市国家構想総合戦略」(令和4年12月閣議決定)において、職業訓練のデジタル分野の重点化等により、令和8年度末までに政府全体で230万人のデジタル推進人材を育成することとされているほか、デジタル田園都市国家構想を実現するためには、全ての労働人口がデジタルリテラシーを身に付け、デジタル技術を利活用できるようにすることが重要であるとされている。

このため、公共職業訓練(委託訓練)及び求職者支援訓練を実施する民間教育訓練機関に対する、①デジタル分野の訓練コースの委託費等の上乗せを拡充するほか、②オンライン訓練においてパソコン等の貸与に要した費用を委託費等の対象とすることにより、デジタル推進人材の育成を行う。また、これらのデジタル分野の訓練コースを受講する方に対し、引き続き、生活支援の給付金(職業訓練受講給付金)の支給を通じて早期の再就職等を支援する。さらに、全国87箇所の生産性向上人材育成支援センター(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)において、在職者に対して実施する③DXに対応した生産性向上支援訓練の機会を拡充し、中小企業等のDX人材育成を推進する。

上記に加え、④デジタル分野以外の訓練コースにおいても基礎的なデジタルリテラシーの向上促進を図る。

⚪︎デジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業

不足するデジタル人材の育成が急務である中、以下の2つのタイプの人材はOFF -JTだけでは不十分で実務経験が必要とされている。

①他職種からIT人材に転職を目指す者のうち中高年齢者は、公的職業訓練等を修了し一定のスキルを得ても未経験のため就職率が低い傾向(※1)。

②IT以外の産業分野の企業のDX推進のためには、企業内に、DXを推進する人材が必要だが、こうした人材は座学講座だけでは足りず、実践の場を通じて経験を積むことが必要(※2)。

このため、①、②のケースのための「実践の場」を創出するモデル事業を実施し、その結果・課題等を把握し、より効率的・効果的な支援の在り方を検証する。(事業実施期間:令和6年度〜7年度)

※1 公共職業訓練終了後の就職率 全体20歳代68.2%、デジタル65.7%、全体35歳以上63.0%、デジタル53.5%(令和3年度 公共職業訓練(都道府県分))

※2 デジタル人材育成のため「自社のeラーニング」(59.3%)を実施しているものの、「取り組んでいるがDXにつながらない」(28.2%)、「推進できる人がいない」(27.4%)傾向がある。育成が必要なDX人材は「現場でDXを企画・推進するデジタル変革人材」(65.6%)、「現場でデジタルを活用できるデジタル活用人材」(46.2%)などと考えられており、現場でのアウトプットも含めた「実践的な学び」の機会が必要(パーソルプロセス&テクノロジー株式会社「DX・デジタル人材育成トレンド調査2022」)

⚪︎人材開発支援助成金

職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)(以下「能開法」という。)第12条に規定する職業能力開発推進者を選任し、かつ、能開法第11条に規定する事業内職業能力開発計画及び当該計画に基づく職業訓練実施計画等に基づき、職業訓練又は教育訓練の実施その他職業能力開発に係る支援を行う事業主等に対して助成を行うことにより、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を促進し、もって企業内における労働者のキャリア形成の効果的な促進に資することを目的とする。

⚪︎産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)

在籍型出向は、自社にはない実践の場における経験から新たなスキルを習得することが期待できるため、労働者のスキルアップを在籍型出向により行う場合に、労働者を送り出す事業主に対して助成することにより在籍型出向を推進し、企業活動を促進するものであり、雇用機会の増大等雇用の安定を図ることを目的とする。