AIに関する暫定的な論点整理(要旨)
※本論点整理は最近の技術の急激な変化や広島AIプロセスを踏まえて、AI戦略会議構成員がAI関連の論点を整理したものである。
はじめに
⚪︎生成AIの可能性
・生成AIの登場は、内燃機関の発明・IT革命と同じく、幅広く生活の質を向上させる「歴史の画期」となる可能性。また、生産性の向上・情報アクセスの改善など、諸課題の解消も期待される。
⚪︎生成AIと日本の親和性
・我が国は、①研究・技術水準の高さ、②ロボット・AIへの肯定的イメージ、③労働人口急減、④デジタル化への高いニーズ、⑤きめこまやかさ・創造性など、生成AIとの親和性が高く、大きなチャンス。
⚪︎いま戦略を検討することの重要性
・我が国に、AIの勃興とともに再び成長の機運が見えており、諸外国の後塵を拝さないよう、今こそ大胆な戦略が必要。
・政府は、人々がAIがもたらす社会変化に対して安心感を持ち、各プレイヤーが予見可能性を持てるようリスクに対応すべき。また、企業・研究者が存分に活動できるインフラ整備を行うべき。
⚪︎これまでの政策と論点整理の関係、論点整理の意義
・政府は、これまで「AI戦略2022」や「人間中心のAI社会原則」などを定めてきた。この論点整理は、従来の基本戦略・理念は維持しつつ、急激な技術変化やG7広島サミットで合意されたビジョンと目標(「我々が共有する民主的価値に沿った、信頼できるAI」)等を踏まえ、AI戦略会議の構成員が有識者として、生成AIを中心に課題と方向性などを整理したもの。
基本的な考え方
⚪︎国際的なルール構築に向けた主導的役割の発揮
・AIに国境はなく、国際的な共通理解・ルールづくり・相互運用性が重要。我が国は、「広島AIプロセス」などを通じ、議論をリードすべき。
⚪︎リスクへの対応と利用
・生成AIの開発・提供・利用を促進するためにも、生成AIの懸念やリスクへの適切な対応を行うべき。いわば、「ガードレール」の設置が必要。
⚪︎多様な関係者を巻き込んだ迅速かつ柔軟な対応
・政府は、広島AIプロセスなどの検討スケジュールも踏まえつつ、マルチデータステークホルダーを巻き込んだ、迅速かつアジャイルの対応が求められる。
リスクへの対応
⚪︎リスク対応の基本方針
・まずはAI開発者・提供者・利用者等が自らリスクを評価し、ガバナンス機能を発揮する。
・必要に応じ、政府を含む多様な関係者によるリスク対応の枠組みを検討・実施する。
・既に表面化しつつあるリスクのうち、既存の法制度やガイドライン等を前提に対処できるものは、周知徹底など早急に対応する。
・既存の法制度・体制等では対応できない可能性がある場合は、諸外国の検討なども参考に対応を検討すべき。
・将来生じ得るリスクについては、その把握に随時努める。
⚪︎透明性と信頼性
・AI開発者・提供者には、現行法令やガイドラインに則り、積極的な情報開示を求めたい。
・政府は、主要なAI開発者・提供者に対して、透明性・信頼性の確保を直接働きかけることも検討すべき。
・生成AIの普及を踏まえ、既存のガイドラインに関して、必要な改正などを検討する必要がある。その際、諸外国における検討とも強調し、第三者認証制度や監査制度等も参考とすべき。
・顕在化したリスクを低減するような技術の研究開発・普及を奨励することも望ましい。