「新たなテクノロジーが雇用に与える影響について」① 2023年度雇用政策研究会 中間整理(概要版)
生成AIの活用への期待
⚪︎生成AIは、従来の大規模言語モデル(LLM)よりも高度な「意味理解」と「会話」が可能となることから、人間がAIと会話しながらアイディアを生み出すことや、AI自身にアイディアの提案を依頼することも可能となっている。また、画像生成を行う生成AIの開発も進んでおり、今後も日々の生活や業務について影響を与えていくことが想定される。
⚪︎人口減少下では、労働生産性の向上が重要であり、研究では、生成AIの活用により
・10年間で米国の年間労働生産性の伸びを1.5%ポイント弱上昇させる可能性や
・カスタマーサポートでは労働生産性の向上や、文書作成における作業時間の短縮や質の向上等が明らかにされている。
⚪︎一方、生成AIによって自然な言語等で示される回答は必ずしも正しいとは限らないため、
・生成AIの技術を(一定程度)理解し、業務の中で活かしていくスキル
・生成AIによって示された結果や経験やその他の情報から事実かどうかを評価するスキル
が重要となっている。
⚪︎生成AIは、あくまでツールであるという認識の下、最終的な意思決定や評価は人間が行うということを意識した対応が重要になってくる。
これまでのAIや自動化による雇用への影響
新たなテクノロジーが仕事に与える影響
⚪︎新たなテクノロジーによるによる仕事内容の変化が想定される。
・LLMの導入により、米国の約80%の労働者は、仕事内容(タスク)の少なくとも10%が変わるとの研究結果有り。
⚪︎新たなテクノロジーは過度な自動化や格差の拡大、非効率的な賃金の低下、生産性改善の失敗を生み出すとの懸念もあるものの、現時点において深刻な雇用喪失に繋がるとまでの明確な結論はだされていない。
労働生産性/ウェルビーイングの向上
⚪︎先行研究では、タクシードライバーが需要予測AIツールを活用することで生産性の向上が図られたとの結果や、AIなどの新技術の導入により、メンタルヘルスやワークエンゲージメントが改善したとの結果も得られており、AI等の活用で、労働生産性やウェルビーイングの向上が期待される。
新たな労働需要の可能性
⚪︎AIの普及により、新たな労働需要が創出される可能性がある。
(例えば、AIシステムの使い方を教える仕事、顧客に対してAIのアウトプットを説明する仕事、AIシステムのパフォーマンスを監視する仕事等の創出が想定される)
新たなテクノロジーと雇用の共存に向けて
⚪︎労使コミュニケーションを通じ、新たなテクノロジーを円滑に職場へと導入していくことが求められる。