「送料無料」表示について
消費者庁では、「送料無料」表示の見直しに取り組んでいます。「送料無料」は、通常、消費者が、送料という費目を別途支払うことなく、商品を購入できることを表していると考えられます。
「送料無料」は、消費者にとっては、とても魅力的だと思います。では、なぜ、その見直しが必要なのでしょうか。
「送料無料」表示をみると次のような認識を抱く消費者もいるのではないでしょうか。
・「送料無料」表示をみると、送料を誰かが負担していることは理解しているが、どのくらいのコストを誰が負担しているのかまでは、(消費者は)考える必要がない。
・商品価格に送料が含めれている場合と、送料別の場合で、消費者の選択が異なる場合がある例(例えば、商品価格3.000円+「送料無料」と、商品価格2.500円+送料500円だと、なんとなく商品価格3.000円+「送料無料」の方が商品価値が高くて得だと思ってしまうなど。)。
・安価な商品であってもまとめ買いすることなく単品で購入し、何回配達してもらっても気にならない(例えば、100円のボールペンを必要な時に1本ずつ購入するなど。)。
・配達日時に不在にして再配達をしてしまっても、ドライバーさんに悪いと思うが、「送料無料」だからそこまで気にしない。
こうした私たち消費者の認識は、一面では正しいのかもしれませんし、これまで何とかやってこられてかもしれません。しかしながら、持続可能な物流の実現のためには、私たちの意識や行動を変えていくことが必要になっているのではないかと考えています。
また、「送料無料」表示は販売方法として消費者にも定着しており、「送料無料」表示を止めると消費者が買ってくれなくなるのではないかと懸念している事業者もいると考えられます。しかしながら、私たち消費者が持続可能な物流の実現についてしっかり理解することで、そうした懸念は払しょくできるのではないかと考えています。
消費者庁では、こうした考えのもとで、消費者の意識改革や行動変容を促すとともに、運賃・送料が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されていくよう、「送料無料」表示に関する実態や見直しによる影響等を把握するため、意見交換会を実施し、検討を重ねてきました。
関係者等の意見を踏まえ、消費者庁の考え方を以下のとおり取りまとめました。
「送料無料」表示の見直し
我が国では、物流における「2024年問題」に直面しており、現在、政府の「物流革新に向けた政策パッケージ」等に基づき様々な対策が採られているところである。
消費者庁では、運賃・送料が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきという観点から、「送料無料」表示に関する実態や見直しによる影響等を把握するため、意見交換会を実施し、検討を重ねてきた。関係者等の意見を踏まえると、
⚫︎送料の表示に関し、「送料として商品価格以外の追加負担を求めない」旨を表示する場合には、その表示者は表示について説明責任がある。
⚫︎消費者庁として、関係事業者等に送料表示の見直しを促すとともに、事業者の自主的な取組状況を注視していく。
表示例
送料負担の仕組みを表示
・送料の負担者を表示:「送料当社負担」など
・送料込みの価格を表示:「⚪︎⚪︎円(送料込み)」など
「送料無料」表示をする場合、表示者の責任として「無料」と表示する理由、仕組み等を分かりやすく説明
・「送料無料」表示をする理由:誰が負担しているのか、商品をお勧めするための販売促進の手法であること など
・送料を無料とする仕組み:配送業者に対して契約に基づき適正な運賃を支払っていること など
送料表示に併せて、物流における「2024年問題」に関し、物流の持続可能性に対する認識や対応について説明を行うことが望ましい。
消費者庁HP 「物流の「2024年問題」と「送料無料」表示について」より