令和6年度予算編成の基本方針(案)①
基本的な考え方
1 わが国経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつある。30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、経済の先行きには前向きな動きが見られており、デフレから脱却できる千載一遇のチャンスを迎えている。
他方、賃金上昇は物価上昇に追い付いておらず、個人消費は依然力強さを欠いている。これを放置すれば、再びデフレに戻るリスクがあり、また、潜在成長率が0%台半ばの低い水準で推移しているという課題もある。
2 こうした中、政府は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和5年11月2日閣議決定)を策定した。この対策は、デフレ脱却のための一時的な措置として国民の可処分所得を下支えするとともに、構造的賃上げに向けた供給力の強化を図るものである。
3年程度の「変革期間」を視野に入れ、我が国経済を熱量あふれる新たなステージへと移行させるためのスタートダッシュと位置付けられている。
3 今後の経済財政運営に当たっては、まず、この対策を速やかに実行し、政策効果を国民一人一人、全国津々浦々に届け、デフレから完全脱却するとともに、「新しい資本主義」の旗印の下、社会課題の解決に向けた取組それ自体を成長のエンジンに変えることで、民需主導の持続的な成長、そして、「成長と分配の好循環」の実現を目指す。
人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する中で、包摂社会の実現に取り組むとともに、国民の安全・安心の確保に万全を期し、経済社会の持続可能性を担保することを目指す。
4 持続的で構造的な賃上げの実現を目指し、引き続き、リ・スキリングによる能力向上の支援など、三位一体の労働市場改革、地域の中堅・中小企業、小規模事業者を含め、賃上げに向けた環境整備を進める。中小企業等の価格転嫁の円滑化、資金繰り、経営改善・再生等の支援を行う。
供給力の強化に向けて、科学技術の振興及びイノベーションの促進、GX、DX、半導体、AI等の分野での国内投資の促進、海洋や宇宙等のフロンティアの開拓、スタートアップへの支援等に取り組む。
5 若者・子育て世代の所得向上に全力で取り組む。全てのこども・子育て世代を対象とする支援の拡充など、「こども未来戦略方針」(令和5年6月13日閣議決定)で示された「こども・子育て支援加速化プラン」を推進し、少子化対策・こども政策を抜本的に強化する。
多様性が尊重され、全ての人が力を発揮できる包摂社会の実現を目指し、全世代型社会保障の構築、女性活躍の推進、高齢者活躍の推進、認知症施策、障害者の社会参加や地域移行の推進、就職氷河期世代への支援、孤独・孤立対策等に取り組む。
6 令和6年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う。