職務給について
職務給
「労働者の担当する職務(仕事)」を基準にして定められる賃金。企業内のあらゆる職務について、「職務分析」(=職務の情報を収集・整理)を行い、次いでそれぞれの職務について「職務評価」(=知識、熟練、努力、責任作業条件など職務の困難度と重要度について職務の相対的価値を評価)を行うことにより、職務とその範囲、必要とされる能力を規定した「職務記述書」を作成する。職務の価値に応じて賃金額が定められる。
(指摘されている主な特徴)
・職務内容と求められる能力が明確なため、外部労働市場から人材を採用しやすい。
・賃金が低下するような職務への配置転換が難しくなり、組織の硬直化を招きやすい。
・職務分析、職務記述書の作成に大きな負担。
・定められた職務内容を超えた柔軟な分担、自発的な補完が期待しにくい。
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デメリットを緩和する様々な工夫
「職務」基準と「人」基準の複合(範囲職務給)等
第4回「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」資料より
職務分析とは、職務に関する情報を収集・整理し、職務内容を明確にすることです。職務評価とは、社内の職務内容を比較し、その大きさを相対的に測定する手法です。人事管理上、よく用いられる人事評価とは異なるものです。
職務評価の手法
職務評価の手法を大別すると、「単純比較法」、「分類法」、「要素比較法」、「要素別点数法」の4つがあります。「要素別点数法」は、簡易にも精緻にも実施可能であり、より客観的な評価を行うことができます。「要素別点数法」による職務評価を実施する場合には、「要素別点数法による職務評価の実施ガイドライン」も参照しながら、実施してみてください。
⑴単純比較法
社内の職務を1対1で比較し、職務の大きさが同じか、あるいは、異なるかを評価します。比較の際に、職務を細かく分解せず、全体として捉えて比較します。
⑵分類法
社内で基準となる職務を選び、詳細な職務分析を行った上で、それを基に「職務レベル定義書」を作ります。「職務レベル定義書」に照らし合わせ、全体として、最も合致する定義はどのレベルか判断し、職務の大きさを評価します。
⑶要素比較法
あらかじめ定めておいた職務の構成要素別に、レベルの内容を定義します。職務を要素別に分解し、最も合致する定義はどのレベルかを判断することにより、職務の大きさを評価します。分類法のように、職務全体として判断するよりも、客観的な評価が可能です。
⑷要素別点数法
要素比較法と同様に、職務の大きさを構成要素別に、評価する方法です。評価結果を、要素比較法のようにレベルの違いで表すのではなく、ポイント数の違いで表すのが特徴です。要素別に、レベルに応じたポイント数を付け、その統計ポイントで職務の大きさを評価します。
厚生労働省「多様な働き方の実現応援サイト」より