問 医師の面接指導の対象となる労働者には、どのような条件があるのでしょうか?
A 面接指導の対象者は、労働時間が「1週間当たり40時間を基準として、これを超えた時間が1か月当たり80時間を超えている」場合で「疲労の蓄積が認められる」者とされています。ただし、医師の面接指導は月の労働時間を把握してから行われ、早くても翌月の実施となるため、おおむね2か月分の状況を踏まえた面接となることから、医師が必要ないと認めた場合は2か月連続で受ける必要はありません。また、健康診断結果や疲労蓄積度チェックリストの結果等に基づき、医師が、健康上問題がないと認めた場合も対象としなくてよいこととされています。
なお、いずれの場合も労働者からの書面や電子メール等による申出に応じて面接指導が行われることになっていますが、事業者は、1 労働者が自己の労働時間数を確認できる仕組みの整備と、時間外・休日労働時間が月80時間を超えた労働者本人に対しその超えた時間に関する情報の通知、2 申出様式や申出窓口の設定等の体制整備および申出記録の保存、3 作業者への申出体制の周知、を図る必要があります。さらに申出を行うことによる不利益な取扱いの禁止などが必要になります。ただし、面接基準に該当する者の全員を対象として呼び出す場合に限り、面接拒否をもって申出がなかったものとみなしてよいこととされています。これらの基準は事業場の衛生委員会で審議しておくとよいでしょう。
また、家族や職場の者が労働者の不調に気がついて相談や情報を受けた事業者は、プライバシーに配慮しつつ当該労働者に面接指導を受けるよう働きかけることが望まれます。あるいは、産業医が健康診断結果や、家族や職場の者からの相談や情報を受ける等により、面接指導を受けることが適当と判断した場合は、当該労働者に申出を行うよう勧奨することが望まれます。
事業場で産業医を選任しておらず、面接指導を実施する医師を確保することが困難な場合には、地域産業保健センター(地さんぽ)を活用することができます。
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