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過重労働防止対策(第14次労働災害防止対策)

労働者の健康確保を巡る動向と対策の方向性

過重労働防止対策関係

過重労働の防止については、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)及び関係法令の施行等により各種の取組が進められたところであるが、そうした取組が進められている中でも、働き過ぎによって尊い生命が失われる等痛ましい事態が今もなお後を絶たない状況にある。令和4年10月14日に閣議決定された「自殺総合対策大綱」に盛り込まれている長時間労働の是正や職場におけるメンタルヘルス対策の推進等に留意しつつ、過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)に基づき、対策をより一層推進する必要がある。

週労働時間40時間以上である雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合は、緩やかに減少している(令和3年:8.8%(労働力調査))ものの、依然として過重労働により脳・心臓疾患を発症したとして労災認定される事案が発生しており、引き続き、時間外・休日労働時間※を削減する必要がある。

※休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間

また、年次有給休暇の取得率は、増加傾向にある(令和3年:58.3%(就労条件総合調査))が、引き続き、年次有給休暇の取得を促進し、年次有給休暇を取得しやすい環境を整備する必要がある。

さらに、勤務間インターバル制度を導入している企業の割合も同様に増加傾向にある(令和4年:5.8%(就労条件総合調査))が、引き続き、労働者の健康の保持や仕事と生活の調和を図るため、勤務間インターバル制度の導入を促進する必要がある。

過重労働対策

(ア)労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと

・「過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置」(平成18年3月17日付け基発第0317008号)に基づき、次の措置を行う。

①時間外・休日労働時間の削減、労働時間の状況の把握、健康確保措置等

②年次有給休暇の確実な取得の促進

③勤務間インターバル制度の導入等、労働時間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号)に基づく労働時間等の設定の改善

・長時間労働による医師の面接指導の対象となる労働者に対して、医師による面接指導や、保健師等の産業保健スタッフによる相談支援を受けるよう勧奨する。

(イ)(ア)の達成に向けて国等が取り組むこと

・「過労死等の防止のための対策に関する大綱」に基づく長時間労働の削減のための取組を基本として、次の取組を進める。

①長時間労働が疑われる事業場への監督指導の徹底、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)の周知、これに基づく指導等に、引き続き取り組む。

また、令和6年4月より、時間外労働の上限規制が適用される医師、建設業に従事する労働者、自動車運転者等について、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)及び関係法令における改正内容の周知・指導等に取り組む。特に、運輸業・郵便業においては全業種の中でも脳・心臓疾患による労災支給決定件数が多いことから、令和4年厚生労働省告示第367号による改正後の自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号)の周知、これに基づく指導等に取り組む。また、医師については医師の労働時間短縮等に関する指針(令和4年厚生労働省告示第7号)に基づき、引き続き労働時間の短縮に向けた取組を進める。

②事業者が医師による面接指導の対象となる長時間労働者に面接指導が勧奨できるよう、制度の趣旨や必要性について効果的な周知方法を検討し、事業者への周知に取り組む。

・「過労死等の実態解明と防止対策に関する総合的な労働安全衛生研究」(過労死等防止調査研究センター実施)における研究成果を踏まえた業種別・職種別の防止対策の作成及び周知に取り組む。