配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項
(配偶者手当の在り方)
配偶者手当は、家事・育児に専念する妻と仕事に専念する夫といった夫婦間の性別役割分業が一般的であった高度経済成長期に日本的雇用慣行と相まって定着してきた制度であるが、女性の就業が進むなど社会の実情が大きく変化していく中、税制・社会保障制度とともに、就業調整の要因となっている。
今後労働力人口が減少していくことが予想され、働く意欲のあるすべての人がその能力を十分に発揮できる社会の形成が必要となっている中、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整につながる配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)については、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれる。
(労使による企業の実情を踏まえた検討)
労使においては、「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組(平成26年12月16日合意)」に基づき、個々の企業の実情(共働き、単身者の増加や生涯未婚率の上昇等企業内の従業員構成の変化や企業の取り巻く環境の変化等)も踏まえて、真摯な話合いをを進めることが期待される。
(配偶者手当の見直しに当たっての留意点)
配偶者手当を含めた賃金制度の円滑な見直しに当たっては、労働契約法、判例等に加え、企業事例等を踏まえ、以下に留意する必要がある。
①ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組
②労使の丁寧な話合い・合意
③賃金原資総額の維持
④必要な経過措置
⑤決定後の新制度についての丁寧な説明
※配偶者手当とは、民間企業において、配偶者がいる従業員に対し支給される手当のことを「配偶者手当」といいます。実際の手当の名称は、企業によって「家族手当」「扶養手当」などさまざまです。
※家族手当制度がある事業所は75.3%、配偶者に家族手当を支給する事業場は55.1%(家族手当を支給している事業所のうち73.3%)
厚生労働省HP「配偶者手当の在り方の検討」より