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AIと著作権の関係等について

基本的な考え方

▪️著作権法では、著作権者の権利・利益の保護と著作物の円滑な利用のバランスが重要
▪️著作権は、「思想又は感情を創作的に表現した」著作物を保護するものであり、単なるデータ(事実)やアイデア(作風画風など)は含まれない
▪️AIと著作権の関係については、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」では、著作権法の適用条文が異なり、分けて考えることが必要

現状の整理

⚪︎AI開発・学習段階(著作権法第30条の4※)
※平成30年著作権法改正により新たに規定

・著作物を学習用データとして収集・複製し、学習用データセットを作成
・データセットを学習に利用して、AI(学習済みモデル)を開発

▫️AI開発のような情報分析等において、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為※1は、原則として著作権者の許諾なく利用することが可能
※1 例えば、3DCG画像作成のため風景写真から必要な情報を抽出する場合であって、元の風景写真の「表現上の本質的な特徴」を感じ取れるような映像の作成を目的として行う場合は、元の風景写真を享受することも目的に含まれていると考えられることから、このような情報抽出のために著作物を利用する行為は、本条の対象とならないと考えられる
▫️ただし、「必要と認められる限度」を超える場合や「著作権者の利益を不当に害することとなる場合※2」は、この規定の対象とはならない。
※2 例えば、情報解析用に販売されているデータベースの著作物をAI学習目的で複製する場合など

⚪︎生成・利用段階
・AIを利用して画像等を生成
・生成した画像等をアップロードして公表、生成した画像等の複製物(イラスト集など)を販売

▫️AIを利用して生成した画像等をアップロードして公表したり、複製物を販売したりする場合の著作権侵害の判断は、著作権法で利用が認められている場合※を除き、通常の著作権侵害と同様
※個人的に画像を生成して干渉する行為(私的利用のための複製)等
▫️生成された画像等に既存の画像等(著作物)との類似性(創作的表現が同一又は類似であること)や依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められれば、著作権者は著作権侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であるほか、刑事罰の対象ともなる

今後の対応

▪️上記の「現状の整理」等について、セミナー等の開催を通じて速やかに普及・啓発
▪️知的財産法学者・弁護士等を交え、文化庁においてAIの開発やAI生成物の利用に当たっての論点を速やかに整理し、考え方を周知・啓発
▪️コンテンツ産業など今後の産業との関係性に関する検討等について

内閣府HPより

※文化庁 令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」(令和5年6月2日)の講演映像及び講演資料が公開されています。