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全世代型社会保障構築会議報告書(「地域共生社会」の実現)

⑴基本的方向

●人口構造及び世帯構成が変化し、家族のつながりや地縁も希薄化する中で、今後、更なる増加が見込まれる独居高齢者の生活について、住まいの確保を含め、社会全体でどのようにして支えていくかが大きな課題である。また、コロナ禍を通じて、孤独・孤立や生活困窮の問題に直面する方々が世代にかかわらず存在することが浮き彫りとなった。

●こうした中で、高齢者福祉、障害福祉、児童福祉、生活困窮者支援などの制度・分野の枠や、「支える側」、「支えられる側」という従来の関係を超えて、人と人、人と社会がつながり、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らせる包括的な社会の実現が必要である。そこで重要なのは、各種サービスの担い手等による連携の下、地域全体で、多様な困りごとを抱える人やその家族を包括的に受け止め、一人ひとりに寄り添い、伴走支援するという視点であるが、この伴走支援は、各種サービスにつなぐという役割のみならず、人と人とのつながりを創出すること自体に価値を有するものである。その際、公平、迅速、かつ効率的に支援を届けるため、デジタル技術の活用を積極的に図ることも重要である。

●さらに、人口減少が急速に進む地域においては、地域社会における支え合い機能が低下し、住民の日常生活の維持に課題が生じる事態も想定される。地域社会におけるつながりの弱体化を防ぎ、住民同士が助け合う「互助」の機能を強化することが重要であり、地域における「互助」を支えるコミュニティ機能の強化に向けた取組が求められる。

⑵取り組むべき課題

①一人ひとりに寄り添う支援とつながりの創出

●いわゆる「8050問題」など、複雑化・復号化する地域住民の支援ニーズに対応するため、各地方自治体において、包括的な支援体制を整備する必要があり、国としても、こうした取組を積極的に推進する必要がある。その際、地域での活動の担い手が、制度・分野の縦割りを超えて、支援ニーズを有する地域住民を中心に置き、地域全体に開かれた形で連携する体制の整備が重要である。

●また「互助」の機能を強化するため、多世代での交流の促進や、地域活動への参加などにより、住民がつながりを実感できる地域づくりを進めることが肝要である。

・重層的支援体制の整備

・ソーシャルワーカー等の確保・育成

・多様な主体による地域づくりの推進

・孤独・孤立対策の推進

・地域共生社会に実現に向けた社会保障教育の推進

②住まいの確保

●今後、地域社会を取り巻く環境が変化する中で、独居高齢者、生活困窮者をはじめとする地域住民が安心して日々の生活を営むことができるよう、入居後の総合的な生活支援も含めて、地域住民の生活を維持するための基盤となる住まいが確保されるための環境整備が必要である。

●こうした観点から、住まい政策を社会保障の重要な課題として位置づけ、そのために必要となる施策を本格的に展開すべきである。その際、年齢層や属性などを考慮した支援対象者の質の確保や既存の各制度の関係の整理も含めて議論を深め、必要な制度的対応を検討すべきである。

●また、今後、住まいの確保に向けた取組を推進していくにあたっては、各地方自治体において、住まい支援の必要性についての認識を深めていく必要がある。

・ソフト面での支援の強化

・住宅の所有者との関係、空き地・空き家の活用