全世代型社会保障構築会議報告書(働き方に中立的な社会保障制度等の構築)
⑴基本的方向
●国民の価値観やライフスタイルが多様化し、働き方の多様化もますます進んでいる。こうした中で、格差の固定化や貧困の防止を図り、社会の分断を防ぐ観点からも、どのような働き方をしてもセーフティネットが確保され、誰もが安心して希望どうりに働くことができる社会保障制度等を構築することが求められている。
●同時に少子化対策の観点からも、子育て・若者世代が将来に展望を持つことができ、生涯未婚率の低下にもつなげられるよう、労働市場、雇用の在り方について不断に見直しを図ることが重要であり、非正規雇用労働者を取り巻く課題の解決や、希望すれば誰もが主体的に成長分野などの企業へ円滑に移動できるような環境整備を図ることが重要である。このことは、「構造的な賃上げ」につながるとともに、国民所得の持続的な向上によって、社会保障制度の持続可能性を支えることにもなる。
⑵取り組むべき課題
①勤労者皆保険の実現に向けた取組
●勤労者がその働き方や勤め先の企業規模・業種にかかわらず、ふさわしい社会保障を享受できるようにするとともに、雇用の在り方に対して中立的な社会保障制度としていく観点から、以下の課題への対応を着実に進めるべきである。
・短時間労働者への被用者保険の適用に関する企業規模要件の撤廃
・個人事業所の非適用業種の解消
・週労働時間20時間未満の短時間労働者への適用拡大
・フリーランス・ギグワーカーについて
・デジタル技術の活用
・女性の就労の制約と指摘される制度等について
・被用者保険適用拡大の更なる推進に向けた環境整備・広報の充実
②労働市場や雇用の在り方の見直し
●子育て・若者世代の非正規雇用労働者は、基本給や各種手当の支給、能力開発機会等における待遇差や雇用の不安定さなどの課題に直面している。こうした実態が、少子化の背景の一つとなっているとも考えられることから、雇用形態に関わらない公正な待遇確保に向けた方策について、引き続き促進する必要がある。
●また、子育て・若者世代にとって、結婚、妊娠・出産、子育てを含めた個人のライフスタイル・ライフサイクルに応じた多様な働き方やキャリア選択が可能となり、将来への展望を持ちながら安心して働き、子育てすることができる機能的な労働市場を整備することが重要である。
・非正規雇用労働者を取り巻く課題の解決
・労働移動の円滑化
内閣官房HP「全世代型社会保障構築本部」