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働く人々の疲労回復におけるオフの量と質の重要性(労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター)

これまでの産業疲労研究では、職場を離れれば仕事の拘束から解放されるため、疲労は回復するものだと考えられてきました。しかし、情報通信機器の発達と共に新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワークの普及によって、職場を離れても仕事による心理的な拘束を受ける場面が増えています。

1か月間、58名のIT労働者の勤務間インターバルの長さや、勤務時間外での仕事のメールの頻度、疲労関連指標を繰り返して測定しました、まず、唾液コンチゾール(ストレスのバイオマーカー)の分泌は、勤務間インターバルが短い方が多くなる傾向が観察されており、これは勤務間インターバル確保の重要性を改めて示した知見として捉えることができます。

さらに、勤務間インターバルが長い場合(勤務インターバルが短い場合もともと仕事との距離が十分に確保されておらず、メール頻度の影響が現れにくい)、メール頻度が多い方が、仕事の疲れが持ち越されて、サイコロジカル・デタッチメントの低下が認められ、勤務時間外では仕事の連絡を拒否できる権利である「つながらない権利」の効用を示唆した知見といえます。

 

労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センター上席研究員 久保智英

令和4年版過労死等防止対策白書

 

※本日、第23回過労死等防止対策推進協議会が開催されます。(資料はHPから閲覧できます)