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睡眠「健康日本21(第二次)」最終評価報告書

目標 睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少

<目標設定の背景>

睡眠の不足は、日中の眠気や疲労をもたらすに留まらず、頭痛等の身体愁訴の増加、情動不安定、注意力や判断力の低下に関連する作業能率の低下等、多岐にわたる影響を及ぼし、事故等、重大な結果を招く場合もある。

睡眠不足を含め様々な睡眠の問題が慢性化すると、肥満、高血圧、糖尿病、心疾患や脳血管障害の発症リスク上昇と症状悪化に関連し、死亡率の上昇にも関与することが明らかとなっている。また、睡眠の問題はうつ病をはじめとした多くの精神障害において、発症初期から出現し、再燃・再発リスクを高めることが知られているが、不眠の存在自体が精神障害の発症リスクをも高めるという報告も近年多くみられるようになっている。

これらを踏まえ、睡眠の問題に対処し、十分な睡眠をとることは心身の健康の保持・増進においては極めて重要であり、睡眠に関連した目標設定が必要とされた。

睡眠に関する目標として、睡眠時間等の客観的な目標ではなく、「睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少」という、「睡眠の質」に関連する主観的・相対的な評価を含む指標が設定されたのは、国民健康・栄養調査で評価することが可能であること、過去の疫学データの集積があること、睡眠習慣に関する個人差についても対応可能であること等、現実的な事情が考慮されたものである。ところが、近年、睡眠時間や中途覚醒の回数といった睡眠の指標よりも、いわゆる「熟睡感」、「睡眠の質」、「睡眠休養感」といった「睡眠により休養を十分とれていると感じているか」により関連すると考えられる主観的評価について高血圧や糖尿病、心疾患や、うつ病等の精神的健康と強く関連するといった、目標としての妥当性を支持する報告が多く認められるようになっている。

目標設定当時、国民健康・栄養調査においては、睡眠による休養を十分にとれていないという有訴者率は20%前後で推移していた。これも踏まえ、有訴者数の減少を目標に国民の睡眠習慣に対して積極的に施策を講じることとした。

<今回の評価>

「睡眠による休養を十分とれていない者の割合」(20歳以上)は最終評価時の平成30(2018)年で21.7%であり、全体として目標値の15.0%に達しておらず、むしろベースライン値の18.4%から有意に増加しており、最終評価においては、「D 悪化している」と評価された。年代別に分析すると、ほぼ全ての年代で増加傾向にあり、特に中高年者(50歳代)において増加の度合いが大きかった。この結果について性差は認められなかった。

平成30(2018)年の「国民健康・栄養調査」によると、1日に平均睡眠時間が6時間未満の者の割合は、男性で36.1%、女性で39.6%であり、30歳代から50歳代の男性、及び40歳代から60歳代の女性で4割を超えていた。

 

※参考 健康づくりのための睡眠指針2014、早寝早起き朝ごはん