ブログ

ブログ

がん「健康日本21(第二次)」最終評価報告書

背景

●がんは、昭和56(1981)年以降、日本人の死因の第1位となり、令和2(2020)年の死亡者は、37万8千人を超え、全死亡の3分の1を占める国民にとっての重要疾患となっている。こうした背景から平成18(2006)年6月には、がん対策を総合的かつ計画的に推進するため、「がん対策基本法」(以下この章において「基本法」という。)が制定された。基本法に基づき、平成19(2007)年6月がん対策推進基本計画(以下「基本計画」という。)を閣議決定し、がん対策を推進している。基本法は、平成28(2016)年12月に改定され、基本計画は、平成24(2012)年6月、平成30(2018)年3月に改訂されて、現在は第3期となっている。

●第3期基本計画(平成30(2018)年3月)では、全体目標の一つに「科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」が挙げられ、その中で「がんを予防する方法を普及啓発するとともに、研究を推進し、その結果に基づいた施策を実施することにより、がんの罹患者を減少させる。国民が利用しやすい検診体制を構築し、がんの早期発見・早期治療を促すことで、効率的かつ持続可能ながん対策を進め、がんの死亡者の減少を実現する。」とされており、「がんの死亡者の減少」を目標とした。さらに、分野別施策の「科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」の個別目標として「国は、男女とも対策型検診で行われている全てのがん種において、がん検診の受診率の目標値を50%とする。」とされており、これを目標とした。

 

目標 75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少(10万人当たり)

75歳未満の年齢調整死亡率の目標は、目標設定時、第2期基本計画に準拠して「73.9(平成27(2015)年)」と設定されたが、健康日本21(第二次)中間評価の時点で、平成30(2018)年3月に閣議決定された第3期基本計画に合わせ「減少傾向へ(令和4(2022)年)」と目標設定が変更された。令和元(2019)年の実績値は人口10万人当たり70.0と、ベースライン値(平成22(2010)年)の84.3より減少しており、目標を達成している。

●国際的に見ると、全がんの年齢調整死亡率の減少については、おおむね諸外国と同様である。

●我が国の減少は、胃がん、肝臓がん、男性肺がんが主として寄与している。

●大腸がん、肺がんは、欧米諸国より減少率が鈍く、かつて欧米諸国より低かった死亡率が逆転、あるいは同レベルになっている。

●女性乳がんは、死亡率は低いが欧米諸国が減少しているなか、増加している。

●子宮頸がんは諸外国と対照的に増加しており、死亡率は欧米諸国を抜いて、第一位に転じている。

目標 がん検診の受診率の向上

がん検診の受診率の目標は、健康日本21(第二次)の目標設定時には、「50%(胃がん、肺がん、大腸がんは当面40%(平成28(2016)年))」とされていたが、健康日本21(第二次)中間評価の時点では、第3期基本計画に合わせて「50%(令和4(2022)年)」へ変更された。令和元(2019)年の受診率は、ベースラインの平成22(2010)年値よりは有意に改善しているものの、男性の肺がんを除いて、目標値の50%には達しておらず、目標項目全体として「B 現時点では目標値に達していないが、改善傾向にある」と評価される。中でも、女性の胃がん検診と大腸がん検診、子宮頸がん検診の受診率は目標設定年度の令和4(2022)年度までの目標達成が危ぶまれる。