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EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)について

EBPMの推進に係る若手・中堅プロジェクトチーム

厚生労働省ではEBPMの実践を通じた統計の利活用を推進し、当該取組を通じて職員が統計データに係る分析手法を習得することができるよう、「EBPMの推進に係る若手・中堅プロジェクトチーム」を令和元年12月27日に設置しました。本プロジェクトの活動において行なった分析結果がまとまりましたので、以下のとおり公表いたします。

EBPM分析レポート

■障害者雇用の促進(概要)令和3年5月11日公表

・平成30年4月に法定雇用率引上げにより、障害者を追加的に雇用する義務が生じた企業と、追加雇用義務が生じていない企業との間で、差の差(Difference−in–Difference)分析を行った結果、引上げ後において障害者を追加的に雇用する義務が生じた企業ほど、労働者に占める障害者の割合である実雇用率が一段と高まっており、法定雇用率引上げにより障害者の雇用が促進されていることが示唆された。

・障害者雇用納付金制度の対象となる、労働者100人超の企業と100人以下の企業との間で、回帰不連続デザイン(Regression Discontinuity Design)の分析を行った結果、閾(しきい)値となる100人のところで実雇用率に段差が生じており、障害者雇用納付金制度によって障害者の雇用が促進されていることが示唆された。

■時間外労働の上限規制(概要)令和3年12月27日公表

・平成31年4月に時間外労働の上限規制が大企業に導入されたことにより、時間外労働への影響が見られるかについて、回帰不連続デザイン(Regression Discontinuity Design)の考え方を用いて、大企業・中小企業の定義のひとつとして用いられる資本金に注目して分析を行った。

・令和元年における資本金の閾(しきい)値では、長時間労働割合に段差が見られるが、それ以前の平成28年や、時間外労働の上限規制が全面適用された平成2年では、閾値において段差が見られない。令和元年においてのみ、閾値における段差が見られたため、平成31年4月の上限規制適用による効果が示唆された。

■生活困窮者自立支援制度の効果検証(概要)令和4年4月11日公表

・生活困窮者自立支援制度等の各事業が就労者数の増加に与える影響について、全国の福祉事務所設置自治体ごとに、固定効果(地域特性や年度特性の影響)を考慮した重回帰分析を用いて検証した。

・就労者数の増加に対して、効果が有意に見られたのは、以下の事業であった。

自立相談支援事業、一時生活支援事業

・遅効性のある事業について検証したところ、就労準備支援事業を実施した翌年度に就労者数の増加が見られた。

・なお、各事業の目的や支援の対象者の特性(就労困難度等)は異なることから、本分析の結果が各事業の有効性を否定するものではないことに留意が必要である。より正確な結果を得るためには、長期的に効果を検証することが求められる。

 

※本レポートは、プロジェクトチームにおけるEBPMの分析結果を取りまとめたものであり、事業所管部局の公式見解を示すものではない。

厚生労働省「EBPMの推進に係る若手・中堅プロジェクトチーム」