満足度・生活の質に関する調査報告書2022〜我が国のWell-beingの動向〜(概要)
「満足度・生活の質に関する調査」は、我が国の経済社会の構造を人々の満足度(Well-being)の観点から多面的に把握し、政策運営に活かしていくことを目的とするものです。
<背景・目的>
我が国の経済社会情勢について、GDPだけでなく、満足度・生活の質に関する幅広い視点から「見える化」することが重要である。こうした観点から、主観的指標である「満足度」(生活に満足しているかを0点〜10点で自己申告するもの)や、関連する生活実態(友人との交流、WLB等)の動向を把握するため「満足度・生活の質に関する調査」を2019年2月に開始した。今般、第4回調査(2022年2月実施)の調査結果を分析し、報告書を取りまとめる。
2022年7月 内閣府 政策統括官(経済社会システム担当)
満足度・生活の質に関する調査について
・約10.000人へのインターネット調査(うち、約3.300人は前回調査からの継続サンプルであるパネル調査)。
・総合的な生活満足度、13分野別の満足度、分野別の質問等により、主観・客観の両面からWell-beingを多角的に把握
※13分野別満足度
家計と資産の満足度、雇用環境と賃金の満足度、住宅の満足度、仕事と生活の満足度、健康状態の満足度、自身の教育水準・教育環境の満足度、政治・行政・裁判所の満足度、自然環境の満足度、身の回りの安全の満足度、子育てのしやすさの満足度、介護のしやすさ・されやすさの満足度、生活の楽しさ・面白さの満足度
①生活満足度の動向(男女別・年齢別・地域別)
・生活満足度は、男性に比べて女性は高い水準で推移し、昨年度に比べて上昇。年齢階層別では、40〜64歳の層で上昇。地域別では東京圏で上昇幅が大きい。
・男女別をさらに年齢改装で分けて確認すると、男性では65歳以上の層の低下が、女性では40〜64歳での満足度の上昇寄与が大きい。
②分野別満足度の動向(男女・年齢別、地域別)、分野別満足度と生活満足度の関係
・男性の40〜64歳で多くの分野別満足度が、女性の40〜64歳で「社会のつながり」満足度が上昇。東京圏・三大都市圏で、多くの分野別満足度が上昇。
・分野別満足度と生活満足度の関係をみると、「生活の楽しさ・面白さ」、「家計と資産」、「WLB」満足度の影響が大きい。
③生活満足度の分布
・生活満足度の分布形状は大きく変わらず、7点が最頻値である。満足度が高い人(7以上)の割合がやや大きくなった。
・3割近く(29.3%)の人の生活満足度が低下したが、上昇した人の割合(32.3%)の方が大きい。
④デジタル化と交流の変化
・SNSの利用頻度、交流人数が多くなっても満足度は比例的には高まらず、実際に頼れる人がいない、友人との直接の交流がない場合に「社会のつながり」満足度は低い。
・様々なリスクを感じる割合は女性の方が男性より大きく、女性では、ネットリスクを感じる割合は感染症を不安に感じる割合の次に大きい。
⑤働き方の変化とWLB、心の健康
・コロナ禍前と比べて、仕事時間が減少した割合は増加した割合を上回る。東京圏では通勤時間が減少した割合が大きく、男性で仕事時間が減少した人は「健康状態」や「WLB」満足度が上昇。
・趣味や生きがいがある人では精神的なストレスを受けていない割合が高くストレスを受けていない人は生活満足度が高く、ストレスを強く受けている人は、生活満足度が低い傾向にある。
⑥家事・育児と満足度
・女性で配偶者がいる場合、家事時間が長い人の割合が大きい。
・家事時間が長くなるにつれ、正規雇用者の「WLB」満足度は低下。
・夫婦ともに育児休業を取得した場合、特に女性で楽しさを感じる割合は高く、「WLB」満足度も高い。
⑦雇用不安と所得環境
・正規雇用者は非正規雇用者と比べて労働時間が長い人の割合が大きい。
・雇用形態に関わらず、労働時間が長いほど雇用・賃金満足度が低下。
・将来の雇用不安は非正規雇用者の方が高い。
・「雇用賃金」満足度の分布は、製造業で変化はないが、教育学習支援業で低い点数にシフト。
※WLB:ワークライフバランス
参考 より良い暮らし指標(Better Life Index : BLI)
「より良い暮らし指標(BLI)」は、伝統的なGDP以上に、人々が暮らしを計測、比較することを可能にするインタラクティブな指標です。
BLIは、暮らしの11分野(住宅、所得、雇用、社会的つながり、教育、環境、市民参画、健康、主観的幸福、安全、ワークライフバランス)について、OECD加盟37カ国とブラジル、ロシア、南アフリカを加え、あわせて40カ国の指標を比較できるようになっています。