令和3年度「過労死等の労災補償状況」について
厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災補償給付を決定した支給決定件数などを、平成14年以降年1回、取りまとめています。
※1 「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。
※2 支給決定件数は、令和3年度中に「業務上」と認定した件数で、令和3年度以前に請求があったものを含みます。
ポイント
●過労死等に関する請求件数
3.099件(前年度比264件の増加)
●支給決定件数
801件(前年度比1件の減少)
うち死亡(自殺未遂を含む)件数:136件(前年度比12件の減少)
1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
⑴請求件数は753件で、前年度比31件の減少。
⑵支給決定件数は172件で前年度比22件の減少。
うち死亡件数は前年度比10件減の57件。
⑶業種別の傾向
・業種別(大分類)
請求件数は「運輸業、郵便業」155件、「建設業」105件、「卸売業、小売業」92件の順で多い。
支給決定件数は「運輸業、郵便業」59件、「製造業」23件、「卸売業、小売業」22件の順に多い。
・業種別(中分類)
請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の「運輸業、郵便業」のうち「道路貨物運送業」124件、56件が最多。
⑷職種別の傾向
・職種別(大分類)
請求件数は「輸送・機械運転従事者」161件、「専門的・技術的職業従事者」110件、「サービス職業従事者」と「建設・採掘従事者」78件の順で多い。
支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」54件、「専門的・技術的職業従事者」27件、「管理的職業従事者」19件の順に多い。
・職種別(中分類)
請求件数、支給決定件数ともに、職種別(大分類)の「輸送・機械運転従事者」のうち「自動車運転従事者」150件、53件が最多。
⑸年齢別の傾向
請求件数は「50〜59歳」268件、「60歳以上」256件、「40〜49歳」168件の順で多い。
支給決定件数は「50〜59歳」67件、「40〜49歳」55件、「60歳以上」36件の順に多い。
⑹時間外労働時間(1か月または2〜6か月における1か月平均)の傾向
支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上〜120時間未満」20件が最も多い。また、「評価期間2〜6か月における1か月平均」では「80時間以上〜100時間未満」56件が最も多い。