「事業協同組合等算定特例」(特定事業主特例)の概要
障害者雇用率制度においては、障害者の雇用機会の確保(法定雇用率=2.3%)は個々の事業主(企業)ごとに義務付けられている。
一方、一定の要件を満たす場合に複数の事業主で実雇用率を通算することができる制度として、従来の特例子会社制度及び企業グループ適用(関係会社特例)に加え、平成21年4月より、企業グループ算定特例(関係子会社特例)とともに、事業協同組合等算定特例(特定事業主特例)が創設された。
この事業協同組合算定特例は、中小企業が事業協同組合等を活用して協同事業を行い、一定の要件を満たすものとして、厚生労働大臣の認定を受けたものについて、事業協同組合等(特定組合等)とその組合員である中小企業(特定事業主)で実雇用率の通算が可能となるものである。
●事業協同組合等算定特例認定の要件
⑴事業協同組合等の要件
①事業協同組合、水産加工業協同組合、商工組合又は商店街振興組合であること。
※平成29年から、国家戦略特区指定区域内において、「有限責任事業組合(LLP)」が認定対象に加わっている。
②規約等に、事業協同組合等が障害者雇用納付金等を徴収された場合に、特定事業主における障害者の雇用状況に応じて、障害者雇用納付金の経費を特定事業主に賦課する旨の定めがあること。
③事業協同組合及び特定事業主における障害者の雇用の促進及び安定に関する事業(雇用促進事業)を適切に実施するための計画(実施計画)を作成し、この実施計画に従って、障害者の雇用の促進及び安定を確実に達成することができることと認められること。
④自ら1人以上の障害者を雇用し、また、雇用する常用労働者に対する雇用障害者の割合が、20%を超えていること。
⑤自ら雇用する障害者に対して、適切な雇用管理を行うことができると認められること。(具体的には、障害者のための施設の改善、専任の指導員の配置等)
⑵特定事業主の要件
①事業協同組合等の組合員であること(有限責任事業組合の場合は国家戦略特区指定区域内の中小企業者又は小規模の事業者である場合に限る)。
②雇用する常用労働者の数が43.5人以上であること。
③子会社特例、関係会社特例、関係子会社特例又は他の特定事業主特例の認定を受けておらず、当該認定に係る子会社、関係会社、関係子会社又は特定事業主でないこと。
④事業協同組合等の行う事業と特定事業主の行う事業との人的関係又は営業上の関係が緊密であること。(具体的には、特定事業主からの役員派遣等)
⑤その規模に応じて、それぞれ次に掲げる数以上の障害者を雇用していること。
ア 常用労働者数167人未満
イ 常用労働者数167人以上250人未満
ウ 常用労働者数250人以上300人以下
●事業協同組合等算定特例によるメリット
個々の中小企業では障害者雇用を進めるのに十分な仕事量の確保が困難であるが、事業協同組合等を活用し、複数の中小企業が共同して障害者の雇用機会を確保することができる。
参考 労働政策審議会障害者雇用分科会 第113回(R4.1.21)資料2
事業協同組合等算定特例・有限責任事業組合(LLP)について
論点
中小企業における障害者雇用の促進の観点から、事業協同組合等算定特例をより効果的に活用する必要がある。また、事業協同組合等算定特例における有限責任事業組合(LLP)の取扱いについては、「成長戦略フォローアップ」(令和3年6月18日閣議決定)おいて、2021年度中に結論を得ることとされている。
これらを踏まえて、以下のとおり対応してはどうか。
■「有限責任事業組合(LLP)については、現在、国家戦略特区内においてのみ事業協同組合等算定特例の対象とされているが、これを全国に拡大することとしてはどうか。
■事業協同組合等算定特例の活用推進のため、有限責任事業組合(LLP)の特例を全国に拡大することに加え、認定組合等からの意見も踏まえ、周知の強化や、認定要件である「営業上の関係」の範囲の拡大、各組合における取組をより実行するものとするための労働局による関わりを増やすことなどを行ってはどうか。
※有限責任事業組合(LLP):参加する組合員が個性や能力を発揮しながら共同事業を行うことができる組織形態として、2005年8月1日に創設されました。同・異業種間や大・中・小規模企業間による連携、専門技能を持つ人材による連携など、さまざなな形態での共同事業を行うことが可能です。また、地域活性や社会貢献活動など、LLPの特性を活かすことによって、地域の独自性を育みながら活動や事業を進める可能性が広がり、今までとは違った新しい展開が期待されます。(経済産業省パンフレットより)
※国家戦略特区指定区域一覧
仙北市、仙台市、新潟市、東京圏(東京都、神奈川県、千葉市、成田市)、愛知県、関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)、養父市、広島県・今治市、福岡市・北九州市、沖縄県の合計10区域(令和3年11月時点)
(内閣府地方創生推進事務局ホームページ)