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派遣労働者に対するキャリアアップ措置について

派遣労働者に対するキャリアアップ措置(法第30条の2)

派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者が段階的かつ体系的に派遣就業に必要な技能及び知識を習得することが出来るように教育訓練を実施しなければなりません。

上記の場合において、当該派遣労働者が無期雇用派遣労働者であるときは、当該無期雇用派遣労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるように配慮しなければなりません。

雇用する派遣労働者の求めに応じ、当該派遣労働者の職業生活の設計に関し、相談の機会の確保その他の援助を行わなければなりません。

●段階的かつ体系的な教育訓練を行うために、以下に掲げる要件を満たす教育訓練計画を作成し、それに沿って行わなければなりません。

①派遣元事業主に雇用されている派遣労働者全員を対象とするものであること

②有給、無償で実施されるものであること

③派遣労働者のキャリアアップに資する内容のものであること

④入職時の訓練が含まれたものであること

⑤無期雇用派遣労働者に対しては、長期的なキャリア形成を念頭に置いた内容であること

●段階的かつ体系的な教育訓練に関する留意点

①派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、労働契約締結時までに、教育訓練計画を明示し、説明しなければなりません。また、教育訓練計画は事業所に備え付ける等の方法により派遣労働者に周知するとともに、計画に変更があった際にも派遣労働者に説明しなければなりません。

②雇用する派遣労働者が教育訓練計画に基づく教育訓練を受けられるよう配慮が必要です。

③その雇用する派遣労働者のキャリアアップを図るため、計画に基づく教育訓練を実施するのみならず、さらなる教育訓練を実施することが望まれています。

④個々の派遣労働者の適切なキャリアアップについて、個人単位のキャリアアップ計画をキャリアコンサルティング等に基づいて策定し、派遣労働者の意向に沿った実効性ある教育訓練が実施されることが望まれています。

⑤教育訓練を実施するために、派遣料金の引き上げ等ではなく、マージン率を引き上げ、派遣労働者の賃金削減で対応することは望ましくないとされています。

⑥教育訓練を実施するためにかかる交通費については、派遣先との間の交通費よりも高くなる場合は派遣元事業主において負担すべきものとされています。

⑦令和3年4月1日以降、教育訓練に関する事項の情報提供の方法は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うこととなります。また、情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者、とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することが原則となります。加えて、教育訓練計画の内容がわかる情報もインターネットの利用その他適切な方法により関係者に対し提供することが望まれます。

●希望者に対するキャリアコンサルティング等の実施について

①キャリアコンサルティングの実施のため、キャリアコンサルティングの知見を有する相談員又は派遣先との連絡調整を行う担当者を相談窓口に配置しなければなりません。

②キャリアコンサルティングは希望に応じて行い、希望があるにもかかわらず実施しないことは認められません。

③雇用安定措置の実施に当たっては、キャリアコンサルティングの結果を踏まえて行うことが望まれています。また、キャリアコンサルティングを受けることが望ましい旨を派遣労働者に対して周知することが望まれています。

●キャリアアップ措置の内容については、法第30条の2第1項の規定による教育訓練(訓練内容や受講方法)及び同条第2項の規定によるキャリアコンサルティングの相談窓口(相談先や利用方法)について説明する必要があります。また、説明に際しては、派遣労働者のキャリア形成支援につながるように、例えば、キャリアパスに応じた教育訓練の体系(受講のモデルケース)や、キャリアコンサルティングの相談例も示し、派遣労働者に分かりやすく説明することが望まれます。

「労働者派遣事業を適正に実施するために−許可・更新等手続マニュアル」より