長時間労働者への医師による面接指導制度について
●医師による面接指導制度の趣旨
長時間の労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者について、その健康の状況を把握し、これに応じて本人に対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた措置を講じるものです。
●面接指導とは
問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて必要な指導を行うことをいいます。
●長時間労働者への面接指導制度の概要
脳血管疾患及び虚血性心疾患等(以下「脳・心臓疾患」という。)の発症が長時間労働との関連性が強いとする医学的知見を踏まえ、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対し、事業者は医師による面接指導を行わなければならないこととされています。また、この面接指導の対象とならない労働者についても、脳・心臓疾患発症の予防的観点から、面接指導または面接指導に準じた必要な措置を講ずるように努めましょう
●対象となる労働者の要件
・労働者(裁量労働制、管理監督者含む)
①義務:月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労蓄積があり面接を申し出た方
②努力義務:事業主が自主的に定めた基準に該当する方
・研究開発業務従事者
①義務:月100時間超の時間外・休日労働を行なった方
②義務:月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労蓄積があり面接を申し出た方
③努力義務:事業主が自主的に定めた基準に該当する方
※建設業、製糖業の研究開発業務従事者については、新第36条の適用が5年猶予されるため、2024年3月31日までに締結した旧第36条協定に基づく36協定の有効である1年間は適用が猶予(最大で2025年3月31日まで適用が猶予)となります。
・高度プロフェッショナル制度適用者
①義務:1週間当たりの健康管理時間※が40時間を超えた時間について月100時間超を行なった方
②努力義務:①の対象者以外で面接を申し出た方
※対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(労使委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間。
●労働者への労働時間に関する情報の通知
事業者は時間外・休日労働時間の算定を行ったときは、当該超えた時間が1月当たり80時間を超えた労働者本人に対して、速やかに当該超えた時間に関する情報を通知しなければなりません。当該通知については、高度プロフェッショナル制度の対象労働者を除き、管理監督者、事業場外労働のみなし労働時間制の適用者を含めた全ての労働者に適用されます。