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「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更について

厚生労働省では、昨年11月から今年5月にかけて4回にわたり「過労死等防止対策推進協議会」を開催し、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、「大綱」という。)の見直し案をまとめ、令和3年7月30日に閣議決定されました。

大綱は、「過労死等防止対策推進法」(平成26年法律第100号)に基づき、おおむね今後3年間における取組について定めるものであり、平成30年に続き、2回目の変更になります。

変更のポイント1(課題と対策の方向性)

●新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、人手不足の状態となった医療現場や一部の職場で過重労働が明らかとなるなど、新型コロナウイルス感染症への対応や働き方の変化による過労死等の発生防止が必要であること。

●ウィズコロナ・ポストコロナの時代に新しい働き方であるテレワーク、副業・兼業、フリーランスについて次のとおり取り組むほか、調査研究等の対象とすること。

・テレワーク:労働者及び使用者が安心して取り組めるよう労務管理に関するルール等を明確化したガイドラインの周知、テレワークに対応したメンタルヘルス対策の手引きの作成等を行う。

・副業・兼業:労働者及び使用者が安心して取り組めるよう労働時間の通算管理ルール等を明確化したガイドラインの周知、一般健康診断等の健康確保に取り組む企業への助成金等の支援を行う。

・フリーランス:労働関係法令の適用関係を明らかにしたガイドラインの周知を行う。

●長時間労働の削減に向けた取組、過重労働による健康障害の防止対策、メンタルヘルス対策・ハラスメント防止対策等の過労死等防止対策について、更なる推進を図って行くこと。また、国家公務員・地方公務員の過労死等防止対策に関しても同様に取り組むこととすること。

変更のポイント2(対策の主な取組例)

●長時間労働の実態があり、勤務間インターバル制度の導入やメンタルヘルス対策の取組が進んでいない中小規模の企業等に対する支援を行うこと。

●調査研究等には、重点業種等※に加え、社会情勢の変化に応じた対象を追加すること。また新型コロナウイルス感染症の影響下における労働時間等の状況、テレワーク等のオンライン活用や先端技術の進展に伴う影響等についても分析すること。

※自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界

●調査研究等の成果を活用した、事業場における過労死等防止対策のチェックリスト等の開発等を行うこと。

●顧客や発注者からの取引上の都合により生じる長時間労働の削減のため、BtoBのほかGtoBについても、適正な納期・工期を設定する等商慣行改善に向けた取組について周知や協力依頼を行うこと。

●過労死等で親を亡くした遺児の抱える様々な苦しみを軽減するための過労死遺児交流会を引き続き開催するとともに、遺児の健全な成長をサポートするための相談対応を行うこと。

変更のポイント3(数値目標)

●数値目標については、現状及び各委員の意見を踏まえて、所要の見直しを行うこと。また、公務員についても目標の趣旨を踏まえて取り組むこととしたこと。

1 週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下(令和7年まで)

2 労働者数30人以上の企業のうち、

⑴勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満(令和7年まで)

⑵勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上(令和7年まで)

特に、勤務間インターバル制度の導入率が低い中小企業への導入に向けた取組を推進する。

3 年次有給休暇の取得率を70%以上(令和7年まで)

4 メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上(令和4年まで)

5 仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上(令和4年まで)

6 ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上(令和4年まで)

※数値目標の4〜6については、第14次労働災害防止計画において新たな数値目標が設定された場合には、その目標の達成に向けた取組を推進。