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令和元年度版 過疎対策の現況(概要版)

●過疎地域の概況

(過疎地域は国土の6割弱、市町村数の半数近くを占める多様な地域)

過疎地域の人口は全国の8.6%を占めるに過ぎないが、市町村数では半数近く、面積では国土の6割弱を占めている。

●⑴人口動向

(引き続く人口減少)

総人口に対する過疎地域の人口の割合の推移をみると、過疎問題が顕在化し始めた昭和35年には21.8%であったが、その後過疎地域の人口割合は減少し、平成27年には8.6%となっている。

過疎地域の人口増減の要因を社会増減及び自然増減からみると、昭和63年度以前は自然増を上回る社会減による人口減少、平成元年以降は社会減と自然減の両方が人口減少の要因となっている。また、平成21年度以降は、自然減が社会減を上回っている。

●⑵人口構成

(進行する高齢化)

昭和35年から平成27年までの年齢階層別人口の推移をみると、0歳〜14歳の階層の構成比は34.8%から10.6%に大きく減少し、生産年齢人口である15歳〜29歳の階層も減少している。一方、65歳以上の高齢者階層については、構成比が6.7%から36.6%へと大幅に上昇している。

平成27年の年齢階層別人口構成比を全国と比較すると、64歳以下の全ての年齢階層において、過疎地域の構成比は全国より低い。一方、65歳以上の高齢者階層の構成比は36.6%と、全国における構成比(26.3%)を10.3ポイント上回っている。

●財政状況

(自主財源に乏しく、脆弱な財政構造)

過疎関係市町村の歳入に占める地方税収入割合は13.9%で、全国の34.0%に比べて著しく低い。

また、市町村の財政力を示す指標である財政力指数をみると、平成30年度における全国の平均は0.51であるのに対し、過疎関係市町村の平均は0.26となっている。

●産業・雇用

(第二次、第三次産業就業者が約8割)

産業別就業人口割合をみると、かつて中核的な産業であった第一次産業就業者は昭和45年〜平成27年の45年間に大きく減少し、現在では、第二次・第三次産業就業者が8割以上を占めている。

●交通・通信

(依然格差はあるものの改善しつつある交通・通信整備)

市町村道の整備水準については、改善されてきているが、未だに全国との間には格差がある。

超高速ブロードバンドサービスエリアの世帯カバー率をみると、移動系では99.2%と全国との差はほぼない。一方、固定系のうちFTTH(光回線)については、92.7%と全国と比べ6.1ポイント低い状況となっている。

●生活環境

(依然残る生活基盤の格差)

生活環境等の整備状況をみると、水道普及率については、全国との格差はかなり縮小してきているものの、未だ5.0ポイントの開きがある。

水洗化率については改善されてきているが、平成30年度において全国95.2%に対して過疎地域77.9%となっている。

●高齢化・福祉・医療

(着実に整備が進むが依然残る福祉・医療の格差)

過疎地域では、全国と比較すると小児科医や産婦人科医が少ない。

無医地区を有する市町村数について、昭和53年の1.168地区から令和元年には543地区へと減少しているが、非過疎市町村と比較して減少のペースは鈍く、無医地区の約90%が過疎地域に存在している。

65歳以上人口1万人当たりの高齢者福祉施設の定員数をみると、軽費老人ホームを除き、いずれの施設についても全国平均より多くなっている。

●教育・文化の振興

(義務教育及び高校進学率の状況)

小中学校1学校当たりの児童数及び生徒数を全国比較すると、令和元年度において、過疎地域の小・中学校1校あたりの児童数は117人、生徒数は119人となっており、それぞれ全国と比較して、小規模学校が多い状況にある。

高等学校等への進学率については、昭和60年以降、全国とほぼ同様の水準となっている。

大学・短期大学への進学率については、令和元年度において38.5%となっており、全国と比べ16.2ポイント下回っている。

●過疎対策の現況

過疎対策事業は、都道府県及び過疎関係市町村計画に基づき、過疎地域の自立促進、振興・活性化等に資する事業として、ハード・ソフトの両面から幅広くかつ総合的に実施されている。

分野別にみると、緊急措置法及び振興法に基づく事業の約半分を占めていた「交通通信体系の整備等」の構成比が活性化法以降に減少しており、「生活環境の整備」、「医療の確保」の構成比が活性化法以降に増加するなど、過疎対策事業債の内容は、時代のニーズに応じて変化している。

令和3年3月 総務省 地域力創造グループ過疎対策室