災害対策基本法等の一部を改正する法律の概要
趣旨
頻発する自然災害に対応して、災害時における円滑かつ迅速な避難の確保及び災害対策の実施体制の強化を図るため、以下の措置を講ずることとする。
改正内容
1 災害対策基本法の一部改正
①災害時における円滑かつ迅速な避難の確保
⑴避難勧告・避難指示の一本化等
<課題>
本来避難すべき避難勧告のタイミングで避難せず、逃げ遅れにより被災する方が多数発生。避難勧告と指示の違いも十分に理解されていない。
(住民アンケート ・避難勧告で避難すると回答した方:26.4%、・避難指示で避難すると回答した方:40.0%)
<対応>
避難勧告・指示を一本化し、従来の勧告の段階から避難指示を行うこととし、避難情報のあり方を包括的に見直し。
※避難勧告は廃止です(令和3年5月20日から)
⑵個別避難計画(※)の作成
※避難行動要支援者(高齢者、障害者等)ごとに、避難支援を行う者や避難先等の情報を記載した計画。
<課題>
避難行動要支援者名簿(平成25年に作成義務化)は、約99%の市町村において作成されるなど、普及が進んだものの、いまだ災害により、多くの高齢者が被害を受けており、避難の実効性の確保に課題。
(近年の災害における犠牲者のうち高齢者(65歳以上)が占める割合、令和元年東日本台風:約65% 令和2年7月豪雨:約79%)
<対応>
避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難を図る観点から、個別避難計画について、市町村に作成を努力義務化。
(任意の取組として計画の作成が完了している市町村 約10%、任意の取組として一部の計画の作成が完了している市町村 約57%)
※併せて、マイナンバー法を改正し、名簿・計画の作成等に当たりマイナンバーに紐付く情報を活用
⑶災害発生のおそれ段階での国の災害対策本部の設置/広域避難に係る居住者等の受入れに関する規定の措置等
災害発生のおそれ段階において、国の災害対策本部の設置を可能とするとともに、市町村長が居住者等を安全な他の市町村に避難(広域避難)させるに当たって、必要となる市町村間の協議を可能とするための規定等を措置。
②災害対策の実施体制の強化
⑴非常災害対策本部の本部長を内閣総理大臣に変更
⑵防災担当大臣を本部長とする特定災害対策本部の設置(※)
※非常災害に至らない、死者・行方不明者数十人規模の災害について設置
⑶内閣危機管理官の中央防災会議の委員への追加
2 内閣府設置法の一部改正
内閣府における防災担当大臣の必置化
3 災害救助法の一部改正
非常災害等が発生するおそれがある段階における災害救助法の適用
国の災害防止対策本部が設置されたときは、これまで適用できなかった災害が発生する前段階においても、災害救助法の適用を可能とし、都道府県等が避難所の供与を実施。
目標・効果
●広域避難に関する取組の推進
広域避難を検討している市町村における広域避難のための協定の締結割合 2020年度:80%→2025年度:100%
公布日:令和3年5月10日 施行期日:令和3年5月20日