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コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題と未来(男女共同参画白書)

・新型コロナ感染症の拡大は、各国の弱いところを露わにしたが、我が国においては男女共同参画の遅れが露呈することとなった。

・令和2年(2020)年4月7日に1回目の緊急事態宣言が発出されたが、ステイホーム、在宅ワーク、学校休校等の影響は、サービス業、とりわけ飲食・宿泊業等を直撃し、非正規雇用労働者を中心に雇用情勢が急速に悪化した。

・同時にこれまで見過ごされてきたこと、潜在的にあったものの表面化してこなかった諸問題、例えば、経済的・精神的DV(配偶者暴力)、ひとり親世帯、女性の貧困等がコロナ下で可視化され、改めて男女雇用参画の進展状況についての疑問の声が上がるようになった。

・こうした我が国の構造的な問題への関心の高まりや、ジェンダー不平等に対する問題意識の高まりは、今後の男女共同参画を強力に推進し、誰一人取り残さない多様性と包摂性のある社会を実現する機会と捉えるべきである。

第1節 コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題<就業面>

・就業者数の推移を見ると、男女ともに、緊急事態宣言が発出された令和2年4月に前の月と比べて大幅に減少。

・男女で比較すると、女性は70万人の減少、男性は39万人の減少と、女性の減少幅の方が大きい。

・雇用形態別雇用者数(役員を除く)の前年同月差の推移を見ると、女性は、正規雇用労働者の増加が続く一方、非正規雇用労働者は令和2年3月以降、13か月連続の減少。

・女性は非正規雇用労働者の割合が高く、特に「宿泊、飲食業」、「生活、娯楽業」が高い。

・男性は雇用者(役員を除く)の8割が正規雇用労働者となっている。

・1度目の緊急事態宣言中(令和2年4月〜5月)に、就業者数の減少幅が大きかった産業は、女性は「飲食業」、「生活、娯楽業」、「小売業」、男性は「飲食業」、「建設業」、「製造業」、「小売業」であった。

・シングルマザーの完全失業率は、コロナの影響により約3%ポイント押し上げられいるが、子供のいる有配偶者には影響が見られない。

・非労働力率もシングルマザーと子供のいる有配偶者で対照的な影響が見られ、子供のいる有配偶者の非労働力化に影響。

第2節 コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題<生活面>

・全国の配偶者暴力相談支援センターと「DV相談プラス」に寄せられたDV(配偶者暴力)相談件数を合わせると、令和2年度の相談件数は19万0030件で、前年度比で約1.6倍に増加。

・「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」※に寄せられた令和2年度の相談件数は5万1141件で、前年度比で約1.2倍に増加。

※性犯罪や性暴力の被害者に対して、心身の負担を軽減するため、被害直後から相談を受け、緊急避妊薬の処方、証拠採取などを行う医療的な支援のほか、心理的支援などを可能な限り一か所で提供する、地域における被害者支援の中核的組織。全都道府県(47か所)に設置されている。

・令和2年の自殺者数を見ると、男性は前の年に比べて23人減少しているが、女性は935人増加している。(死亡者数は男性14055人、女性7026人)

・女性の自殺者数は、「無職者」が648人増加、「被雇用者・勤め人」が443人増加。

(無職者の内訳では「主婦」が最も増加、学生・生徒等の内訳では「高校生」が最も増加。)

・男性の自殺者数は、「被雇用者・勤め人」が199人増加。

第3節 ポストコロナ時代における男女共同参画の未来

・テレワークによって、女性が働きやすくなる可能性。他方、「家事が増える」、「自分の時間が減ることがストレス」などの見方もある。

・1日の時間の使い方について、コロナ前と比較すると、男性の仕事時間が減少した分、育児時間が増加し、男性の育児参画が進んだように見える。

・ただし、女性の育児時間も同様に増加しており、また家事時間については変化が無いことから、女性が男性の2倍以上、家事・育児をしている傾向は、コロナ前後で変わらない。

・医療・福祉、情報通信業など、コロナ下においても就業者数が増加している産業がある。有効求人倍率を見ると、第1回緊急事態宣言後も、介護サービス職業については、3〜4倍以上で推移しており、ニーズが高い。また、IT関連の転職求人倍率も高く推移している。

・今後、このようなニーズのある分野や成長分野等へのシフトが重要であり、そのためには、職業訓練等の人材育成、人材のマッチング、勤務環境の改善等が必要である。