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精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会報告書(概要)

●精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に際しては、精神障害者や精神保健(メンタルヘルス)上の課題を抱えた方等(以下「精神障害を有する方等」とする。)の日常生活圏域を基本として、市町村などの基礎自治体を基盤とした上で、障害保健福祉圏域等の単位で精神保健医療福祉に関する重層的な連携による支援体制を構築することが重要。

精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る基本的な事項

●精神障害にも対応した地域包括ケアシステムでは、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、重層的な連携による支援体制を構築する。

●「地域共生社会」は、制度・分野の枠や、「支える側」と「支えられる側」という従来の関係を超えて、人と人、人と社会のつながり、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らしていくことのできる包括的なコミュニティや地域社会を創るという考え方であり、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」は「地域共生社会」を実現するための「システム」「仕組み」と解され、地域共生社会の実現に向かっていく上では欠かせないものである。

●重層的な連携による支援体制は、精神障害を有する方等一人ひとりの「本人の困りごと等」に寄り添い、本人の意思が尊重されるよう情報提供等やマネジメントを行い、適切な支援を可能とする体制である。

●同システムにおいて、精神障害を有する方等が必要な保健医療サービス及び福祉サービスの提供を受け、その疾患について周囲の理解を得ながら地域の一員として安心して生活することができるよう、精神疾患や精神障害に関する普及啓発を推進することは、最も重要な一つであり、メンタルヘルス・ファーストエイドの考え方を活用する等普及啓発の方法を見直し、態度や行動の変容までつながることを意識した普及啓発の設計が必要である。

精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを構成する要素

地域精神保健及び障害福祉

●市町村における精神保健に関する相談指導等について、制度的な位置付けを見直す。

●長期在院者への支援について、市町村が精神科病院との連携を前提に、病院を訪問し利用可能な制度の説明等を行う取組を、制度上位置付ける。

精神医療の提供体制

●平時の対応を行うための「かかりつけ精神科医」機能等の充実を図る。

●精神科救急医療体制整備をはじめとする精神症状の急性増悪や精神疾患の急性発症等により危機的な状況に陥った場合の対応を充実する。

住まいの確保と居住支援

●生活全体を支援するという考えである「居住支援」の観点を持つ必要がある。

●入居者及び居住支援関係者の安心の確保が重要。

●協議の場や居住支援協議会を通じた居住支援関係者との連携を強化する。

社会参加

●社会的な孤立を予防するため、地域で孤立しないよう伴奏し、支援することや助言等をすることができる支援体制を構築する。

●精神障害を有する方等と地域住民との交流の促進や地域で「はたらく」ことの支援が重要。

当事者・ピアサポーター

●ピアサポーターによる精神障害を有する方等への支援の充実を図る。

●市町村等はピアサポーターや精神障害を有する方等の、協議の場への参加を推進。

精神障害を有する方等の家族

●精神障害を有する方等の家族にとって、必要な時に適切な支援を受けられる体制が重要。

●市町村等は協議の場に家族の参画を推進し、わかりやすい相談窓口の設置等の取組の推進。

人材育成

●「本人の困りごと等」への相談指導等や伴奏し、支援を行うことができる人材及び地域課題の解決に向けて関係者との連携を担う人材の育成と確保が必要である。

精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築に係る各機関の役割の整理

●精神障害にも対応した地域包括ケアシステムは、地域共生社会の実現に向かっていく上では、欠かせないものであり、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、重層的な連携による支援体制を構築することが適当。

●構築に際しては、精神障害者や精神保健(メンタルヘルス)上の課題を抱えた方等の日常生活圏域を基本として、市町村などの基礎自治体を基盤として進める必要がある。また、精神保健福祉センター及び保健所は市町村との協働により精神障害を有する方等のニーズや地域の課題を把握した上で、障害保健福祉圏域等の単位で精神保健医療福祉に関する重層的な連携による支援体制を構築することが重要

※社会保障審議会障害者部会(第106回)資料4