アルコール依存症(みんなのメンタルヘルス)
大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒がないといられなくなる状態が、アルコール依存症です。その影響が精神面にも、身体面にも表れ、仕事ができなくなるなど生活面にも支障が出てきます。またアルコールが抜けると、イライラや神経過敏、不眠、頭痛・吐き気、下痢、手の震え、発汗、頻脈・動悸などの離脱症状が出てくるので、それを抑えるために、また飲んでしまうといったことが起こります。
アルコール依存症は「否認の病」とも言われるように、本人は病気を認めたがらない傾向にあります。いったんお酒をやめても、その後に一度でも飲むと、また元の状態に戻ってしまうので、強い意志で断酒する必要があります。ですから、本人が治療に対して積極的に取り組むこと、家族をはじめ周囲の人のサポートがとても大切です。
●治療の内容
アルコール依存症の場合、治療は外来でも可能ですが、主体は入院医療です。入院医療は次の3段階に分けられます。
1 解毒治療
体とこころに起きている合併症の治療と、離脱症状の治療。
2 リハビリ治療
個人精神療法や集団精神療法で、本人に飲酒問題の現実を認識して断酒の決断へと導く。退院後のリハビリ治療を視野にいれて自助グループへの参加なども始まる。本人や家族に十分な説明をしたうえで抗酒薬の投与も開始する。
3 退院後のアフターケア
(a)病院・クリニックへの通院、(b)抗酒薬の服用、(c)自助グループへの参加、という「アフターケアの三本柱」を継続する。
1の解毒治療は一般病院で行うことも十分可能ですが、2のリハビリと3の退院後のアフターケアはアルコール依存症の治療のノウハウをもつ専門施設にゆだねるのがよいでしょう。また、プレアルコホリズムの場合には、症状や本人の生活環境などを考慮して外来治療が可能な場合もあります。
●アルコール依存症の治療で行われる精神療法
アルコール依存症治療の中心的存在です。個人精神療法や集団精神療法で、本人の飲酒問題の現実を認めさせ断酒の決断へと導きます。
●アルコール依存症での薬物医療の種類
・低栄養の治療
・肝臓などの治療
・精神症状に対する治療
・離脱症状への治療
・お酒を遠ざける(抗酒薬)
●断酒維持のための支援
自助グループ
本人やその家族が同じ立場の人たちと交流し、断酒継続の助けとする断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)などがある。
※依存症対策全国センターのHPから、全国の相談窓口・医療機関を検索することができます。