2025年版「中小企業白書」賃金・賃上げ 等

賃金の動向や中小企業・小規模事業者の賃上げの動向について確認する。2024年度の最低賃金の全国加重平均額は、前年度と比べて51円、比率にして5.1%の改定が行われたことで1.055円となり、過去最高を更新した。

春季労使交渉による賃上げ率の推移を見ると、2024年の賃上げの状況は、「賃上げ率(全規模)」で5.10%、「賃上げ率(中小)」で4.45%となっており、約30年ぶりの水準となった。

常用労働者規模別に、一人当たりの所定内給与の推移を見ると、「100〜999人」及び「10〜99人」は増加傾向にあるが、「1.000人以上」との間には依然として差が存在しており、足下の2024年には、その差が拡大している。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を用いて、企業鵜規模別に2023年の常用労働者における時間当たり所定内給与額の分布を見ると、分布のボリュウムゾーンは「中小企業」で約1.000円、「大企業」で約1.100円となっており、水準に差が生じていることが分かる。

企業規模別に付加価値額の構成要素を見ると、賃上げ余力を高めるためには付加価値額に占める営業純益の割合を高めることが必要であるが、「中小企業」は「大企業」と比較してこの割合が低い。

労働分配率に着目すると、「中規模企業」及び「小規模企業」の労働分配率は約8割であり、中小企業・小規模事業者の更なる賃上げ余力は、大企業と比較して厳しい状況といえる。

中小企業・小規模事業者における賃上げの実施状況を見ると、賃上げを実施する中小企業・小規模事業者の割合は高まっているが、中でも業績の改善をきっかけとしない賃上げの割合が高まっており、賃上げを実施した企業のうちの過半数を占めていることが分かる。

消費者物価指数・賃金指数・消費者態度指数の推移を見ると、ここまで確認したような賃上げの動向がを背景に、「賃金指数」は直近数年間で上昇傾向にあり、令和6年平均の所定内給与は対前年比で2.1%と30年ぶりの高い伸びとなった。一方で「消費者物価指数」は「賃金指数」を上回る上昇を続けており、こうした動向などを受けて、「消費者態度指数」が低下している可能性が考えられる。

※参考 日本経済レポート(2025年度)より

内閣府(2025)では、中小企業の賃上げについて、賃上げができる企業とできない企業に二極化している可能性を、アンケート調査をもとに指摘したが、実際に企業規模別に賃上げ率の分布の変化を見ると、大企業は分布全体が右にシフトするような形になっているのに対し、中規模、小規模の企業は、賃上げ率の低い層は低いままである一方で、分布の右側が厚くなる傾向がみられる。すなわち、中高年の労働者の場合と同様で、賃上げ率があまり変わらない層が一定数いる一方で、賃上げ率が高くなった層も一定数いる、という二極化の傾向が、実際の分布からも見て取れることになる。